混雑時の動画再生、快適なのは?大手キャリア3社とMVNO5社で比較調査

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ICT総研は、大手キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)と「格安SIM」として注目を集めるMVNO5社(楽天モバイル、OCNモバイルONE、IIJmio、mineo、BIGLOBE SIM)について、混雑する時間帯に動画再生の品質と通信速度を比較した調査結果を発表しました。

動画再生、大手3社は100%成功もMVNO5社は成功率に差

調査は、ネットワークが混雑する状況として東京、名古屋、大阪の主要待ち合わせスポット30地点で、昼(11:30~13:30)と夕方(17:00~19:00)の混雑する時間帯に、各社のSIMを挿したiPhone7を10台で同時接続し、8月3日から17日の期間に実施されています。
 
調査用に用意した4K解像度で120秒間の動画を再生できるかを調査したところ、大手キャリア(MNO)3社は全地点、全端末で再生に成功しました。
 
一方、MVNO5社では結果にばらつきがあり、mineoは再生成功率100%となった一方、OCNモバイルONEが成功率83%となりました。
 

動画再生の停止時間、MVNO各社間でも差

「動画再生ボタンを押してから再生開始までの待ち時間」と「再生中に停止した時間」が全体に占める割合を「動画再生停止時間」として比較したところ、MNO3社は平均2.0%だったのに対し、MNO5社は平均5.2%と、2.6倍の差があります。
 
MNO各社間でもOCNモバイルONEが8.4%、BIGLOBEが 5.4%、IIJmioが 5.1%と、ばらつきが見られました。
 

再生開始までの待ち時間、大手3社は2.4秒、MVNOは5.7秒

動画再生ボタンを押してから再生開始するまでの所要秒数は、MNO3社の平均は2.4秒で、3社間の差もほぼありませんでした。一方、MVNO5社は平均5.7秒と、約2.4倍の時間がかかっています。
 
MVNOの中では、mineo が3.8 秒、IIJmioが4.6秒で比較的待機時間が短くなっています。
 

動画ダウンロード所要時間、MVNOは大手3社の約5.4倍

動画再生開始後、ダウンロードバーが完了の位置まで移動するまでの所要秒数は、MNO3社の平均6.2秒に対し、MVNO5社平均は33.5秒と、およそ5.4倍の差がつきました。
 
こちらも、MNO3社間に大きな差がない一方、MVNOはBIGLOBEが56.4秒、OCNモバイルONEが49.7秒と時間がかかったのに対し、mineoが10.6秒と短いなど、差が目立つ結果となりました。
 

ダウンロード速度、大手3社12.5Mbsに対しMVNOは2.3Mbps

通信速度測定アプリ「RBB SPEED TEST」による測定の結果、下り(ダウンロード)速度はMNO3社の平均が12.5Mbpsに対し、MVNO5社の平均は2.3Mbpsと、大きな差がありました。
 
地域別に見ると、東京と大阪ではソフトバンクが、名古屋ではドコモが速い傾向がみられました。
 
MNO3社の順位はドコモ13.4Mbps、ソフトバンク12.9Mbps、au11.8 Mbpsの順でした。MVNOは、楽天モバイル3.9Mbps、BIGLOBE3.6Mbpsの2社がやや速くなっています。
 

 
ICT総研が2016年9月に都内100地点で実施した調査では、MNO3社の下り速度は平均49.7 Mbpsを記録したのと比較して低速になったことについて同社は、混雑時間帯に限定した調査であることと1社当たり10台同時接続という条件の影響と分析しています。
 
上り(アップロード)は、MNOの平均が5.3Mbpsに対しMVNO平均は6.3Mbpsと、MVNOがMNOを上回りました。ICT総研によると、混雑時間帯のMVNOでは、下りより上りが速い現象は頻繁するとのことで、今回の結果はその傾向が現れたといえます。
 

格安SIMは、その特徴を踏まえて検討を

今回の調査結果は、大手キャリア3社とMVNOの通信速度や回線品質を「動画再生」という切り口で分析していますが、大手キャリアとMVNOでは明らかに差があることが分かります。
 
「格安SIM」として注目を集めているMVNOは、自前の回線設備を持たずに大手キャリアの回線の帯域を借りてコストを引き下げている性質上、回線品質の面では大手キャリアに比べて不利にならざるを得ません。
 
「格安SIM」関連のトラブルが増加している、と国民生活センターが4月に注意を呼びかけているように、MVNOの利用にあたっては、料金だけではなく、サービスの性質の違いなども踏まえて比較する必要があります。

 
 
Source:ICT総研
(hato)

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