スマートフォン&ディープラーニングが偽物ブランド品を駆逐する

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    空港を訪れると、本物と偽物のLouis Vuittonのバッグが比較できる形で陳列されており、偽ブランド品の持ち込みが法律に違反する旨が警告されています。一見しただけではどちらが本物か分かりませんが、よく見ると、偽物は微妙に形状が異なっていたり、縫製が甘かったりするのです。しかし空港で晒されているのは、簡単にバレてしまった偽物ブランド品。いわば少し目が利く一般人でも見分けがつく偽物です。本物の「偽ブランド品」は、専用のスマートフォンガジェットを駆使ししなければ、判別できない段階に来ています。

    エキスパートもお手上げ

    「10年前でさえ、中古品のバッグを買おうとする女性は、ChanelやGucci、Pradaが、街角で売られはしないことを知っていた」と語るのは、ニューヨークのフォードハム大学でファッションビジネスの法的保護を担当するスーザン・スカフィディ氏です。「しかし今や、正統なもの・そうでもないものの区別なしに、大量にオンラインに流通している。消費者が違いを見分けることはかなり困難だ」
     
    もちろん、模造品を掴んでしまうのは消費者だけではありません。中古品を取り扱うオンラインストアも同様に、本物と偽物の区別がつかないのが実情です。例えば、RealRealやVestiare Collectiveといった業者は、何年も経験を積んだエキスパートを雇い入れていますが、時には彼らですら失態を犯してしまうことを、「偽物を売られた」とのオンラインレビューが証明しています。
     
    いかに偽物との戦いが厳しいものであるかは、アパレルメーカーが模造品を防止する技術に対し、2017年は61億5,000万ドル(約6,765億円)も投資するとされていることからも明らかでしょう。

    ディープラーニングとスマートフォンの出番

    そこで登場するのがベンチャー企業Entrupyが開発した、スマートフォンに接続する高性能マイクロスコープです。260倍まで拡大できるので、肉眼では違いがわからないような手がかり――マークが歪んでいる、レザーにわずかなズレがある、塗りが甘いなど――から、模造品かどうかを判別することが可能なのだそうです。
     
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    このマイクロスコープと、数百万枚以上の写真を元にしたディープラーニングとを組み合わせることによって、Louis VuittonやChanel、Gucciの中古ブランド品を取り扱うストアは、わずか数分でスマートフォン片手に判別を下すことができるようになりました。Entrupyによれば、ディープラーニングを使うことで、偽物か本物かを見分ける精度は98%を超えたそうです。
     
    デバイスやデータベースを使うには、299ドル(約3万3,300円)の初期費用のほか、月額費用が99ドル(約1万1,000円)〜となっています。Bloombergが取材した時点では、160を超えるストアが利用しているのだそうです。
     
    動画では、まるで触診のようにChanelのバッグにマイクロスコープを当て次々と写真を撮影することで、データベースにもとづいてiPhone上で自動的に判定してくれている様子が確認できます。
     

     
     
    Source:Bloomberg,Entrupy
    (kihachi)

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    この記事を書いた人

    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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