「死んだ息子のiPadをロック解除して」遺族の要求にAppleは応じるべき?

ipad ロック解除 イギリス

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息子がのこした遺書がiPadの中にあることが分かっているのに、ロック解除に応じてくれない――Appleの一本調子とも取られかねない対応に、イギリスで賛否両論が巻き起こっています。

裁判所の命令がないと応じられない

骨肉腫に冒されたリーアム・ライトさんは、iPadに遺書を書くことを決意しました。家族は完成を待ってiPadのパスワードを聞こうとしましたが、もはや危篤状態にあった彼に応える力は残っておらず、コードを明かすことなく昨年12月、18歳でこの世を去りました。
 
問題はここからです。誰も彼のiPadをロック解除できないため、遺族はAppleに助けを求めました。しかし、Appleからの返事は「彼の死亡証明書と事務弁護士からの手紙がないとアンロックは受け付けられない」というもの。仕方なく遺族は120ポンド(約1万7,000円)を支払い、必要な資料を揃えてAppleに提出しました。
 
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ところが、今度は「関連する情報を送っていない」ということで、裁判所からの命令がないとロック解除には応じられないとの素っ気ない返事が返ってきます。費用はさらに360ポンド(約5万1,000円)が必要とあって、遺族は大きく取り乱します。
 
「こんなの間違っている」と語るのは、死亡したリーアムさんの姉です。iPadの中には遺書だけでなく、彼が生前に残した写真や動画が詰まっています。「もし、これがあなたの息子の写真だったらどんな気分?」

プライバシーはどこまで尊重すべきか

もちろん、遺族にとっては不条理極まりない話ですが、Appleとしてはプライバシーポリシーを厳格に遵守しているだけであることは特筆しておくべきでしょう。
 
もし、死亡した本人が写真や動画の公開を望んでいなかったら?履歴を見られたくなかったら?第3者にすぎない企業はもとより、遺族だとしてもロックを解除して覗き見る権利はあるのでしょうか。
 
もっとも、同様の事件は定期的に発生しており、昨年もティム・クック最高経営責任者(CEO)に直訴して死亡した息子のiPhoneから写真を取り出した父親や、ドキュメンタリー番組を通してAppleの協力を勝ち取った女性が話題となりました。
 
 
Source:DailyMail
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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