就業時間以外は仕事メールを「見ない」権利が合法化〜フランス

無料画像 https://pixabay.com/ja/電子メール-アイコンを-マーケティング-市場-情報-メッセージ-1346077/

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フランスでは1月1日より、就業時間外での仕事関連のメール確認を、従業員に強制することができなくなりました。

プライベートに仕事が侵食するのを防ぐ

社員数50人以上の組織は、スマートフォンなどのテクノロジーを「切断する権利」を、従業員との話し合いにより定義することが、労働法で定められたためです。
 
テクノロジーの発展によって、就業後や休日でもメールをチェックする、ネットで仕事を確認するといった行為が常態化し、働きすぎや不眠、人間関係における不和などの問題が起きています。今回施行された法律は、こうした事態の改善を目的としています。
 
新法を提案したのは、ミリアム・エル・コムリ労働大臣です。新法により企業は、プライベートを仕事が侵食しないよう、従業員をテクノロジーから切り離すための方法について、話し合いの場を持つことが義務づけられます。
 
話し合いが合意に至らない場合、企業側は就業時間外での雇用者側の要求と権利について明記し、公開しなければなりません。

あまり効力はない可能性

今回新たに施行された法律についてフランスの労働組合は、企業が違反しても罰則がないため、あまり効力はないだろうと見ています。
 
一方、自動車のVolkswagenやDaimler、保険のAxaなどは、すでに就業時間外でのメールチェックを制限し始めている模様です。なかには、夜間や週末は仕事関係のメールが見られないようにする、休日中に従業員に送信されたメールは自動的に削除されるといった、さらに進んだ方針を採用している企業もあるようです。
 
しかしその一方では、労働時間に柔軟性を持たせたい、仕事が始まる前や終わったあとにメールをチェックしたいという意見もあります。また時差の異なる国に住む相手と常にやり取りするために、一般とは異なる就業時間帯で働く人々もいます。重要なのは仕事とプライベートのバランスですが、仕事は多種多様なため、これを法律で管理するというのは難しそうです。
 
 
Source:The Guardian
Photo:Pixabay
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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