MacとPCの擬人化CMから10年!制作者がジョブズ氏の思い出を振り返る
Windows PCに対するMacの優位性をアピールした広告「Get a Mac」の放映開始から10周年を機に、制作者が当時のことを振り返っています。スティーブ・ジョブズ氏の完璧主義にはかなり泣かされたようです。
MacとPCを擬人化して比較したCMから10周年
MacとWindows PCを擬人化し、MacはWindows PCに対して使いやすく、安全で、楽しいことをアピールする「Get a Mac」シリーズのCMは、2006年から2009年にかけて放映されました。
ちょうど10年前に放映が開始され話題となった広告制作の裏話が、広告関係の情報メディアCampaignのロングインタビューで明かされました。
難題だったPC役の俳優選びの条件
俳優の人選にあたっては、過去の作品のイメージを引きずらないよう「有名すぎない俳優」という条件があったそうです。
その結果、起用されたのがカジュアルで親しみやすいMacを演じたジャスティン・ロング氏、まじめだけど風采の上がらないPC役のジョン・ホッジマン氏の二人でした。
また、PCを長年使っている多くの人を不快にさせないよう、PC役の人選は「聡明で自信にあふれ、それでいてチャーミングで憎めない」キャラクターという条件が課せられていました。
ジョブズ氏の完璧主義に泣かされた制作陣
制作チームは、当時のAppleの最高経営責任者、スティーブ・ジョブズ氏の完璧主義にはかなり苦労させられたそうです。
「Get a Mac」のCMは、66本が放映されましたが、実は323本が制作されており、大半がボツとなったそうです。
制作チームは、毎週10~15本をジョブズ氏にプレゼンしていましたが、ジョブズ氏はとにかく完璧を目指しており、ビデオに光の反射を見つけると、再生を途中で止めて「おい、どうしてライティングをもっとうまくやらないんだ?」と尋ねるようなことも多かったとか。
ジョブズ氏からの「シャツのブルーの色調が気に入らない」「女性のシャツに描かれた花が好きではない」といった細かい指摘でお蔵入りになった作品もかなりの数でした。
広告シリーズのディレクターだったエリック・グランバウム氏は「多くの作品を提案し、大多数をボツにされ4本だけが採用になった時、最初はかなり落ち込んだものの、それはジョブズ氏が失敗作に注目したのではなく、最高の作品を選んだ結果だと分かった」とジョブズ氏の考えを理解していった時のことを振り返っています。
英文のロングインタビューは、CampaignのWebサイトで、2部構成で公開されています。
今となっては皮肉に見えるCMも。Microsoftは逆手に取ったCMも放映
「Accident」と題されたCMでは、こんな場面が描かれています。職場を歩いていた人が電源コードに足を引っかけたせいで、怪我をしているPC。Macが「MagSafeがあるから安全なんだ」と語ります。新型MacBook ProでMagSafeが廃止されたことを思うと、皮肉に感じます。
2150年に行き、フリーズやエラーの問題が出ていないかタイムトラベルするPC。2150年のPCは、過去から来たPCを目にしてフリーズしてしまいます。
これに対して、Microsoftは自社のエンジニアを起用し「I’m a PC」として、Appleのキャンペーンを逆手にとったCMを放送しました。
日本ではラーメンズが演じた「Macくんとパソコンくん」
「Get a Mac」シリーズは、日本ではお笑いコンビのラーメンズが出演して2006年12月12日から放映され、「Macくんとパソコンくん」として話題になりました。アメリカ版にはなかったエピソードも追加されています。
ボツにならずに公開された、「Get a Mac」シリーズの全66本は、こちらで視聴可能です。