現在は41%だが…iPhoneの売上総利益が下降傾向に

    iPhone8 コンセプト動画

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    AppleのiPhoneにおける売上総利益が、2009年には57.7%であったのが、現在は41%まで下がっていることがわかりました。Bernstein Researchは、2018年にはこの数字がさらに下がり、39%になると予測しています。

    高い利益の維持は難しくなる?

    Appleは世界でもっとも利益率の高い企業といわれています。今年1月に発表した2015年9月-12月期の利益は184億ドルで、米国企業として史上最高の数字を記録しています。
     
    Appleの利益率の高さは変わらない、とアナリストらは見ています。ただ一部のアナリストらは、同社が今後もこの、他社に比べれば桁外れに高い利益率を維持していくのは難しいだろう、と述べています。
     
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    競争激化で難しくなる値上げ

    その理由として挙げられているのが、次期iPhoneの製造コスト増と、スマートフォン市場の競争激化のなかで、Appleが今後も値上げを続けられるのかという点です。事実中国市場では、Appleは売り上げを30%落とし、市場シェアも失っています。
     
    Bernstein Researchのトニ・サコナイ(Toni Sacconaghi)氏は、

    iPhone8のリリースが近づけば、売上総利益はさらに大きな課題となる可能性がある。同デバイスの新しい形状、有機EL(OLED)スクリーン、機能追加(ワイヤレス充電)により、材料費の値上がりは避けられないからだ。端末を値上げするか、2018年度の売上総利益を圧縮するしかないだろう。

    と述べています。
     
    Morgan Stanleyのケイティ・ハバティ(Katy Huberty)氏もサコナイ氏と同意見です。
     
    ハバティ氏は、

    売上総利益についての当社の長期的な見方は変わっていない。しかし10-Kデータを見る限り、Appleが需要を低く見積もっていたために供給を増やさざるを得ず、短期的な利益幅が減ってしまった」とし、さらに「(iPhone7の)初期の需要が予測を上回ったため、Appleはサプライヤーへの発注を増やし、製造ラインを追加するため費用を負担した。これは12月に逆風となるだろう。

    と分析しています。

    材料費のコスト増が利益を圧迫

    繰り返しますが、アナリストらはAppleは今後も高い利益を生み出すと予測しています。ただしその達成がこれまでよりも難しくなる、というのです。
     
    UBSのスティーブン・ミルノビッチ氏とベンジャミン・ウィルソン氏は、もしもiPhone8で5.8インチのカーブしたOLEDを採用、かつベゼルフリーにするなら、値上げだけではこのコストをカバーできない、と分析します。しかも大幅な値上げも難しいため、利益幅が減るだろうと述べています。
     
    とはいえ、2016年第3四半期のスマートフォン市場の営業利益において、Appleが103.6%ものシェアを占めたとの報告もあり、Appleが非常に高い利益を得ており、それが当面大きく変わらないのは確かです。
     
     
    Source:Business Insider
    Photo:YouTube(ConceptsiPhone)
    (lunatic)

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    この記事を書いた人

    元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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