【コラム】いよいよ始まるApple Pay、日本とアメリカのサービスの違いとは
Appleの電子決済サービス「Apple Pay」が、いよいよ日本でもスタートします。アメリカではいち早く、2014年2月から利用可能となっている同サービスですが、日本での本格導入を前に、アメリカではどのように利用されているのか、また日本のApple Payとはどこが違うのかなどを、改めて見ていきたいと思います。
アメリカではデビットカードにも対応
アメリカと日本のApple Payの最大の違いは、登録できるカードです。日本で登録可能なのはクレジットカード、プリペイドカード(Suica含む)、ギフトカードですが、アメリカでは銀行のキャッシュカード(デビットカード)も登録可能となっています。これはアメリカだけでなく、Apple Payが利用可能な多くの諸外国でも同じです。
アメリカは完全なカード社会で、100ドル以上の現金を財布に入れている人は少数派です。買い物時には一般に、デビットカードかクレジットカードで支払います。デビットカードで支払いをすると、代金が銀行口座から直接引き落とされます。
そのためアメリカでのApple Pay導入当初の展開においては、どの銀行と提携しているかが非常に重要でした。現在では全米にあるほぼすべての銀行のカードに対応しています。
各店のリワードカードも登録可能
またアメリカでは、各種「リワードカード」も登録可能となっています。リワードカードというのは、日本でいうポイントカードのことです。店で買い物をしたり、飲食店で食事をしたりすると、店がスタンプを押してくれて、貯まると割引や特典などが受けられる、あのカードです。
アメリカのApple Payでは、大手ドラッグストアチェーン店のWalgreensや、中堅デパートKohl’sなどのリワードカードが登録でき、Apple Payで支払いを行なうと、自動的にリワード(日本で言うポイント)が貯まります。また貯まったリワードをApple Payでの支払い時に使うことも出来ます。
日本ではSuicaに対応
そして日本とアメリカでのもうひとつの違いが、交通系カードへの対応でしょう。
アメリカは車社会で、ニューヨークなどの一部大都市を除くと公共交通網があまり発達していないため、Apple Payでも交通機関での利用が話題にのぼることはありませんでした。
一方日本の場合、特に都市部では公共交通網の利用が生活の一部となっているうえに、交通系ICカードがバスや電車の利用だけでなく、コンビニの決済にも日常的に利用されているため、これら交通系ICカードへの対応が非常に重要となります。日本のApple PayではまずJR東日本のSuicaに対応することが発表されました。
Apple PayのSuicaでも、Android向けモバイルSuicaと同じように、アプリ上から電子マネーのチャージができるほか、定期券、グリーン券、特急券なども購入可能です。
またSuicaが相互利用可能な交通系ICカードが利用できる電車やバス、コンビニであれば、Apple PayのSuicaを使うことが出来ます。つまりPASMO(PASMO協議会加盟事業者)、TOICA(JR東海)、manaca(名古屋鉄道、名古屋市交通局)、SUGOCA(JR北九州)、nimoca(西日本鉄道)、はやかけん(福岡市交通局)、ICOCA(JR西日本)、PiTaPa(スルッとKANSAI協議会加盟事業者)、Kitaca(JR北海道)が使える場所でなら、Suicaも利用できるということです。
今後の展開に注目
Apple Payが浸透すれば、今後さらに対応カードは増えていくでしょう。条件面で折り合わなかったのか、サービス開始時に利用可能なクレジットカードのなかにVISAが含まれていないのが気になりますが、追加されるのは時間の問題と思われます。
またアメリカのようにデビットカードや各種ポイントカードも、Apple Payで利用可能になるかも知れません。
日本でのApple Payサービス開始は、10月25日説が濃厚となっています。
Photo:Apple日本,Apple
(lunatic)