大通信時代の到来か?ソフトバンクとauが20GB以上の割安プランを発表:追記
9月8日にソフトバンクが従来の5GB程度の料金プランに1,000円を足すだけで20GB使えるプラン「ギガモンスター」(9月13日開始)を発表しました。これに対抗する形で、auも同様のプランで「スーパーデジラ」(9月15日開始)を発表し、両キャリアともにiPhone7発売日前に提供を開始することとしています。
追記更新:2016年9月16日19:02
ドコモもこれに合わせて9月13日に「ウルトラパック」を発表しました。(9月14日と23日開始)
なぜ大容量の通信プランを発表したのか
iPhone7/Plusが発売されるタイミングに合わせてこの新プランが発表されたのは、国内キャリアにとっても繁忙期となる事が予想されるからでしょうが、「なぜこのような大容量の通信プランなのか」という部分については、9月8日に先駆けて20GBプランを発表したソフトバンクの公式発表にいくつかポイントとなる情報がありました。
■背景
1,コンテンツのリッチ化(大容量化)
例えば、SNSでも自動で動画が再生されるようになったり、ゲームなどのアプリの容量が増えたり、安く優良な動画視聴サービスが増えたりと、ここ最近様々なコンテンツで大量の通信が必要となるシーンが増えており、通信量が増大しています。
2,スマホ化
ガラケーが主流だった時代から通信容量の変遷を見てみると、スマホ時代全盛の現在では2,300倍にも膨れ上がっており、今後も更に増加すると予測されています。
■現状
これは実際にソフトバンクが設置している基地局の様子ですが、これまでの技術では、人が多い所では基地局を増やして対応する以外に回線品質を向上する術がありません。しかし、現在山手線の過密地域などでは、すでに狭い所だと10m〜50mほどの間隔で基地局が存在しています。基地局は近すぎると干渉してしまうため、都市部などの過密地域ではこれ以上の設置は難しいという状況になっています。
■対策
ネオマーケティング社の調査によると、65%のスマホユーザーが通信量に気を使って利用しているという結果が出ています。これでは快適なネットライフとはほど遠く、改善の必要に迫られていました。この状況に対処するべく、ソフトバンクは新しい通信技術「Massive MIMO」(マッシブマイモ)を開発しました。これは1局あたりの基地局の容量を大容量化する新技術で、これまでは複数ユーザーで周波数をシェアしていたのを、マルチユーザー多重技術によって、各ユーザーが周波数を占有できるようにしています。
この新技術を使った調査結果動画がこちらになりますが、この新しい基地局はiPhone7発売日と同時の9月16日から全国43都市、100局からスタートとなり、順次拡大をしていくそうです。
■結果
つまり従来の基地局では対応出来ない大容量の通信に対応出来る新技術を得て、今回の新しい料金プラン「ギガモンスター」を発表するという流れになったといえます。
キャリア間での競争
今回ソフトバンクが、従来と比べて20GB以上の通信容量が安く使えるプラン「ギガモンスター」を発表した直後、auがお得に使える「スーパーデジラ」、さらに1,000円のテザリング費用を無料とする期間を設置することを明らかにしました。これにソフトバンクが追随し、テザリング費用を2017年4月末まで無料にすると発表しています。
まだ動きのないドコモがどのようなプランを打ち出してくるのかに注目が集まります。またauはソフトバンクに即応してプランを打ち出したものの、ソフトバンク同様回線の基地局問題などを抱えながら、特に対応策を発表していない点が少々気になります。
追記:ドコモもこれに合わせて9月13日に「ウルトラパック」を発表しました。(9月14日と23日開始)
同発表では5G Projectも同時に発表されており、現在の回線が「3G⇒4G」と進化してきた先の「5G」の実現に向けたプロジェクトの一環となっています。大容量、同時接続、高速通信、低遅延の4つに対して取組みをして行く中で、Massive MIMOを利用した今回の「ギガモンスター」は大容量化の足がかりとしてスタートしており、今後他の3つの取組に関しても進めて行くとみられます。目安の時期を2020年としている事から東京5輪や、IoTについても何か仕掛けがあるのかもしれません。
※「5G Project」は、5Gで導入が見込まれている、Massive MIMO 等の新技術をソフトバンクがいち早く利用者に提供する取組の総称です。
追記:2016年9月16日のiPhone7発売セレモニーに参加した宮内社長は、囲み取材で記者からの質問に対して、新技術について開発期間数年を経た後、今回のギガモンスターについては2ヶ月の準備期間を経て発表に至ったと答えました。また、発表後に競合が同調した今回の動きに関しては「業界で大容量の回線を低価格で提供するキッカケとなった事は喜ばしい」と利用者にとってメリットがあればというコメントが出ていました。
いずれにしてもユーザーとしては、本日発売されたiPhone7/Plusでも安く快適な通信が出来るよう期待したいところです。
(tom)