アップル、昨年イギリスで納めた税金は「2時間分の時給」
アップルの節税スキームについては議論が以前から持ち上がっており、EUでも目下捜査が行われています。脱税行為とは異なるため、アップル側は批判について「たわごとだ」と反論していますが、新たな報道によると、昨年同社がイギリス連邦で納めた税金は、世界中から得られた利益を時給換算して、わずか2時間分の金額に過ぎないことが分かりました。
納めた税金は儲けのわずか2時間分!?
2015年の第4四半期において、アップルは759億ドル(約7兆5,900億円)を売り上げ、利益は184億ドル(約1兆8,400億円)となりました。これは単純計算で1時間あたり、アップルが830万ドル(約8億3,000万円)の利益を手にしていることになります。
さて、英メディアDaily Mail Showが報じたところによると、アップルは通常であれば26億ドル(約2,600億円)の税金をイギリスで支払わなければなりませんでした。ところが、アップルが実際に支払った額はわずか1,700万ドル(約17億円)です。これは、先述した時給で言うところの2時間分に過ぎません。
同じイギリス連邦でも、イギリスの企業税率は20%とされていますが、アップルが本社を置くアイルランドでは12.5%で済みます(このため世界中の企業がこぞって同国に本社を構えています)。ところが、アップルは政府と取引を行い、2.5%にまで税率を抑える仕組みを構築しているため、このような金額で済んでしまうというわけです。
どの企業よりも税金を払っているとアップルは主張
一体なぜこんなことが可能なのかは知るよしもありませんが、EUの欧州委員会は「不公正な補助」と判断、違法性があるとみて、アップルとアイルランドの関係を捜査しています。仮に違法であると最終的な結論が下されれば、アイルランドは――アップルではなく――同社が払うべきであった80億ドル(約8,000億円)を追加納税という形で納めなければなりません。これはイギリス連邦がEUから脱退しても変わりないとのことです。
なお、ティム・クック氏はこの問題について、「政治的なたわ言に過ぎない」と一蹴し、アップルはどの企業よりも多くの税金を納めていると以前より強調しています。
Source:9to5Mac
(kihachi)