iPadで学力向上!?高校卒業率が65%から82%に上昇した例も

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    Appleは近年、教育現場での製品活用に特に力を入れています。学区内の学校と教師にiPadやMacBookを配布した効果について、ウォール・ストリート・ジャーナルが取り上げています。

    「iPadなんてゲームのためのもの」と懐疑的だった教師

    Appleは、アリゾナ州ユマの小学生全員にiPadを、教師にはiPadとMacBookを配布しました。
     
    H.L.Suverkrup小学校4年生の担任であるブランカ・リベラさんは最初、Appleからの製品提供の話を聞いた時「iPadなんてゲームのためのもの」と、教育的効果に懐疑的でした。しかし、8ヶ月ほど後には子供たちが勉強やプレゼンテーションにiPadを活用しており、リベラさんも学習の進捗管理にiPadのデータを活用するようになりました。
     
    「iPadは本当に子供たちの学習意欲を高めました」と、リベラさんはiPadの効果を認めています。

    「パソコンを買ってから、何に使うか考える」学校では成績は伸びない

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    学校がテクノロジーに重点的に投資してもテストの結果に目立った向上が見られなかった、とのOECDによる調査結果や、タブレットやパソコンを使いすぎる子供は平均的利用時間の子供よりも成績が低い、とも言われていることもあり、iPadのような機器の導入に消極的な層がいるのも事実です。
     
    ミシガン大学教授で教育におけるテクノロジー活用が専門のエリオット・ソロウェイ氏は、学校にコンピュータを導入しても成績が向上しないのは、学習内容が以前のままだからだ、と指摘しています。
     
    「学校は常に、まずコンピュータを買って、何に使うかを考え始める」と、繰り返される失敗の構図をソロウェイ教授は語ります。

    Apple社員を派遣して活用方法のトレーニングも提供

    Appleは、全米の学校でiPadやMacBookを配布し、教室にApple TVを設置、一部の学校では校舎内のWi-Fiネットワーク構築も支援しました。同社は、一連のプロジェクトに2014年だけで約1億ドル(約108億円)を投じています。
     
    Appleが投入したのは製品と資金だけではなく、教職を経験したApple社員が1校あたり年間17日間出向いて、教師たちにiPadを授業に活用するためのトレーニングを行い、授業準備を支援しました。
     
    リベラさんは「毎回、たくさんのアイデアをもらって、子供たちに試してみるのが待ちきれなかったわ」とトレーニングを受けた後のワクワクした気持ちを語っています。

    Appleの役員たちも学校を支援

    Appleはさらに、役員たちもそれぞれ、学校の支援を担当しています。ユマでは、Appleのインターネット・ソフトウェアとサービス担当上級副社長のエディー・キュー氏が担当となりました。キューバ移民の子として生まれたキュー氏は、ヒスパニックが大半を占め、多くの子供たちが家では英語を話さないユマの子供たちに親近感を感じたと言います。
     
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    メキシコ国境に接するアリゾナ州ユマは、農業が主な産業で、決して豊かな地域とは言えません。失業率は18%に上り、児童1人あたりの教育支出は全米平均の半分をわずかに上回る程度で、子供たちほぼ全員が、昼食費の半額免除または全額免除の対象と認定される貧困状態にあります。
     
    昨年8月に始まったばかりのユマでの取り組みには、問題も出ています。多くの子供たちの家にはインターネット接続がなく、iPadを使った宿題を出すことができないため、iPadを学校から持ち帰ることが禁止されています。学区では現在、通信大手のAT&Tに通信回線のための資金提供を申請中です。

    iPad導入で高校卒業率が65%から82%に上昇

    カリフォルニア州南部のCoachella Valley学区では、4,200万ドル(約45億6,000万円)を投じて、学区内の生徒2万人にiPadを配布する取り組みを2013年に開始しました。このプログラムは、Appleの支援によるものではなく、学区独自のものです。
     
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    同学区は、子供たちほぼ全員が昼食費の半額免除または全額免除の対象となる貧困地域です。行政は、インターネット接続がない地域には、Wi-Fi接続可能なスクールバスを駐車させるなどの取り組みを続けました。
     
    Coachella Valleyの教育長、ダレル・アダムズ氏は、高校卒業率が2011年の65%から2015年には82%に上昇した、とiPad導入に効果があったと語ります。

    教育に注力するApple

    従来から教育現場で強かったMacが安価なChromebookに押され気味であったり、ロサンゼルスで47の学校の全生徒64万人にiPadを配布するプログラムが頓挫したりと、Appleにとっては順調なことばかりではありません。
     
    Appleは公式サイト内に「教育」ページを設置し、教育現場における製品活用について詳細に紹介しているほか、教育関連ソフトウェア開発企業のLearnSproutを買収するなど、投資を続けています。

     
     
    Source:The Wall Street Journal
    Photo:Apple
    (hato)

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    この記事を書いた人

    2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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