ここがiPhone製造現場!Pegatronの工場内部が公開される
iPhoneの製造を担う中核工場のひとつ、中国・上海のPegatronの工場内部の様子を、米ブルームバーグが報じました。極秘のはずの工場内部の公開は、労働問題への対応状況をアピールするねらいがあると見られます。
5万人が働くiPhone組み立ての工場内部
Pegatronといえば、FoxconnとならんでiPhoneの製造・組み立てを担うAppleの主要サプライヤーであり、その工場となれば秘密保護のため、厳重な警備態勢が敷かれています。
そんな主力工場のひとつの内部を、ブルームバーグが多くの写真とともに公開しました。
厳重なIDチェック
50,000人がiPhoneの組み立てに従事する工場への出入りには、厳重なIDと所持品のチェックが行われています。これは、未発表の製品のリークを防ぐことに加えて、労働時間を管理し、過度な時間外労働を防ぐため、とPegatronは説明しています。
労働者たちはブルーのヘアネットをかぶり制服を着用して、320人で構成されるユニット単位で勤務しています。
サッカーグラウンド90個分の広大な敷地には、消防署や警察署、郵便局も置かれており、シャトルバスが走り、手入れされた芝生や鯉の泳ぐ池もあります。6月開園予定の上海ディズニーランドからは車で20分ほどの距離です。
労働問題改善のアピールが目的か
極秘のはずの工場にメディアの記者を入れた理由について、「労働環境の問題に取り組み、改善していることを見せたいのだろう。しかし、まだ全体像は見せていない」とオックスフォード大学講師のJenny Chan氏は語ります。
労働者の人権問題を扱う団体であるChina Labor Watchなどが指摘した労働環境の問題に対処するため、工場では60時間以上の時間外労働をすると、IDチェックでエラーが出て工場に入れないようにするなど、対策がとられています。
しかし、基本給が安いため、時間外労働で収入を稼ぎたい労働者にとっては、労働時間を制限されることも問題のようで、「時間外労働時間は最大60時間とされているが、私たち労働者はもっと働きたいと思っている。時間外労働をすれば金が稼げるので、もっと働きたいんだ」と、匿名を条件に語った男性が胸の内を明かしました。
Appleが調査団を派遣したケースも
Appleは、2013年に工場で発生した労働問題に対処するため、調査チームを中国に派遣するなど、労働者の人権保護に取り組んでいます。
それでも、労働者たちは劣悪な環境で働いているとの報道もあり、問題の完全な解決には時間がかかるかもしれません。
Source:Bloomberg
(hato)