「アップルがリサイクルプログラムで毎年40億円手にしていた」はデマだった!?

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    アップルが自社のリサイクル対象製品から1トン分のを回収し、昨年だけで約3,950万ドル(約43億円)を手にしたとのニュースが先日話題となりましたが、ニューススサイトMOTHERBOARDはこの見方に異を唱えています。

    きっかけは年次報告書だが

    そもそもアップル合計で1トンの金を回収しているという「ネタ」は、同社の年次報告書「Environmental Responsibility Report」に記載されたリサイクルプログラムの項目に由来しています。
     
    しかしこれをもって、アップルが昨年だけで約3,950万ドル(約43億円)を儲けたと結論付けるのは早計と言わざるを得ません。というのも、アップルはこのリサイクルプログラムにおいて、決して最終的に自分たちでを採り出しているわけではないからです。

    回収しているのはリサイクル業者

    レポートをよく読むと、「2015年、私たちは9,000万ポンド近くのe-waste(電気電子機器廃棄物)を自分たちのリサイクルプログラムで回収しました。これは過去7年に遡って我々が販売した製品の71%の重さに相当します」という記載とともに、「世界中で160のリサイクル業者と協力しました」と述べられていることが分かります。
     

    iphone リサイクル 金

    製造業者のリサイクルプログラムが義務付けられている州(オレンジ)。


     
    先述したMOTHERBOARDによれば、これこそが真実で、実際のところアップルは法律の定めでリサイクル業者と協力し、彼らに業務委託を行っているに過ぎないのです。さらに関係のない他社製品まで回収しており、結局は43億円の利益を得るどころか、損失を計上しているのが実情なのだとか。アメリカでは現在、24州で「製造業者の責任」としてリサイクルプログラムを義務付ける法律が施行されており、最終的に金を手にしているのはGoodwillなどのリサイクル業者とのことです。

    iPhoneから得られる金は微々たる量

    「アップルは450のストアでリサイクルプログラムを実施しているが、自分たちでリサイクルしている率はゼロかゼロに限りなく近い」と話すのは、アップル製品をいち早く分解することでお馴染み、iFixitのCEOであるKyle Wiens氏です。もちろん、アップルは製造業者であり、リサイクル業者ではないのですから、何も悪いことではありません。
     
    Wiens氏は、「皮肉なことに、金は古いPCやサーバーに含まれており、iPhoneから得られる金は微々たるものだ」と語り、アップルがまるで「クリスマス・キャロル」に出てきた守銭奴スクルージのような扱いをされることはおかしいと指摘します。
     
    そもそも、毎年40億円超もの利益となれば、決算報告書にも堂々と記載されているレベルであり、突然アップルがこっそり儲けていることが判明するという状況自体が不自然な話ですね。粛々と法律に従ってリサイクルプログラムを行っていただけで後ろ指をさされる、とんだ流言飛語というオチでした。
     
     
    Source:MOTHERBOARD
    (kihachi)

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