Apple新CEOターナス氏がデザイン重視〜iPhoneはどう変わる?

Appleの新CEOジョン・ターナス氏が、製品デザインを重要な優先課題に掲げていると海外メディアが報じました。スタジオ通いは週に数回で、多くても月1回程度だったクック前CEOとは対照的です。ターナス氏の関与が最初に表れるのはiOSの画面デザインや操作感で、本体デザインの本格的な刷新は新体制で一から開発するモデルからになると筆者はみています。その根拠と、買い替えの考え方を解説します。
Apple新CEOターナス氏はデザイン現場に週に数回
ジョン・ターナス氏は、Appleでハードウェアエンジニアリング部門を率いたのち、9月にCEOへ就任した人物です。海外メディアの報道によると、就任後はインダストリアルデザインとヒューマンインターフェースの両チームに深く関与し、スタジオで週に数回、日によっては1日に複数回作業に加わることもあるといいます。
インダストリアルデザインは主に製品の形や素材を、ヒューマンインターフェースは画面の見た目や操作感を担当します。ターナス氏は、iPhoneなどを手に取った瞬間の印象と、画面に触れたときの心地よさの両方に、CEO自ら目を配っていることになります。報告を待つのではなく、現場の議論に直接加わる姿勢がうかがえます。
クック前CEOとはデザインへの関わり方が違う
報道内容と筆者の試算をもとに、2人のCEOを比較しました。訪問回数の差に加えて経歴の違いを見ると、方針の変化が浮かび上がります。
| 項目 | クック前CEO | ターナスCEO |
|---|---|---|
| 主な経歴 | サプライチェーン | ハードウェアエンジニアリング |
| スタジオ訪問 | 多くても月1回程度(1回1時間ほどとの報道も) | 週に数回 |
| 月あたり訪問回数(筆者試算) | 多くても1回 | 8回程度〜(週2回×4週で計算) |
「週に数回」を週2回、1カ月を4週と仮定すると、ターナス氏の訪問は月8回程度となり、回数ではクック前CEOの8倍前後に達します。今回の報道は1回あたりの滞在時間に触れていないため、関与の総時間を比べた数字ではないものの、両者の差は歴然です。
ターナス氏は財務とサプライチェーンの大部分を、財務責任者のケバン・パレック氏とオペレーション責任者のサビ・カーン氏に任せ、設計とデザインに時間を割いているとされています。役割分担からは、経営の軸がサプライチェーンの専門家から製品づくりの専門家へ移ったことが読み取れます。デザインと設計の間では、優先順位がぶつかる場面も出てきます。例えば、本体を薄くしたいという要望と、バッテリー容量や放熱の余裕を確保したいという要望のどちらを取るかで、製品の完成度は大きく変わります。設計の現場を熟知し、デザインにも深く関わるトップが最終判断を下せば、調整にかかる時間を短縮できると考えられます。
アイブ退社後はCEOが最終判断する体制に
2019年にジョナサン・アイブ氏が退社して以降、Appleには同氏のような専任のデザイン責任者がいませんでした。一時は統括役だったジェフ・ウィリアムズ元最高執行責任者(COO)も2025年に退任し、社外への人材流出も相次いだとされます。若手の昇格や外部採用で立て直しを図る一方、後任探しの動きはなく、現在は以下の体制です。
- インダストリアルデザイン:モリー・アンダーソン氏
- ヒューマンインターフェース:スティーブ・ルメイ(Steve Lemay)氏
- デザインの最終判断:ターナス氏
カリスマ的なデザイナー1人に委ねず、2人の現場リーダーとCEOが直接つながる形のため、意思決定の経路は短くなる見込みです。半面、方向性がCEO個人の感覚に左右されやすく、ターナス氏の判断力がこれまで以上に問われることになりそうです。最終決定者が明確な点は、人材流出が相次いだ組織を立て直すうえでも意味を持つといえます。
iPhoneへの影響はまずiOSの画面周りからか
デザインチームは就任前の移行期からターナス氏の下にあったとされますが、現場に深く入り込んだのは就任後だといいます。既に発売されたモデルの多くは、新体制が固まる前に設計を終えていたとみられ、影響は小さいと筆者は判断しています。
画面の見た目や操作感を担うヒューマンインターフェースは、ハードウェアより短い期間で変更を反映しやすい分野です。ターナス氏の関与を最初に実感できるのは、iOSの画面デザインや操作の細部になるとみられます。本体デザインの本格的な刷新は、新体制で一から開発するモデルを待つ必要がありそうです。エンジニア出身のトップが関わることで、Appleが見た目だけでなく持ちやすさや耐久性とのバランスをより重視するようになることにも期待がかかります。
iPhone13を使う筆者が考える買い替え時期
筆者の手元にあるiPhone13は、ターナス氏がCEOとしてデザインの最終判断を担う前の世代です。新体制の影響が本体に表れるまで時間がかかるとすれば、買い替えの判断軸は「今の端末で困っているかどうか」に絞るべきだと筆者は考えます。iOSの新しいデザインは、対応機種であればアップデートで手元の端末にも届く可能性があるため、本体の買い替えとは切り分けて捉えられます。
バッテリーの持ちや処理性能に不満があるなら、現行モデルへの買い替えを前向きに検討する価値があります。逆に、今の端末に大きな不満がなく、デザインの刷新を重視して長く使える1台を選びたいなら、新体制の色が濃く出る将来のモデルを待つ選択も十分に成り立ちます。
ただし、デザインの変化がどの世代から表れるかは、今後の続報を待つことになります。待つ場合は、新しい情報が出るたびに今の端末の状態と照らし合わせて判断するのが賢明です。
Photo:MacRumors

