Apple映画、劇場公開中止の波紋と今後の展開
ストリーミングサービスを運営するAppleやNetflixが本格的に映画制作を開始してから、すでにかなりの時間が経っていますが、劇場公開に関しては依然として理解が不十分な部分が多いと、Bloombergが報じています。最近、ブラッド・ピットとジョージ・クルーニー主演のApple制作映画『ウルフズ』の劇場公開が中止となったばかりですが、それは単純に採算が取れないと判断されたためのようです。
Appleの次の世界的な劇場公開作品は来年6月
Appleは、マーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』や『ナポレオン』などの大作映画が期待外れの興行成績に終わったことで、映画戦略の再考を迫られていると報じられています。
その戦略の一環として、アクションコメディ『ウルフズ』の世界数千館での劇場公開中止という決断に至った模様です。同作品は一部の限られた映画館で先行公開され、その後9月27日にApple TV+でストリーミングが開始されています。
Appleは他の作品でも同様のアプローチを取ることをすでに決定しており、来年6月公開予定のブラッド・ピットが元F1ドライバーを演じ、新星を指導するためにレースに復帰する映画『F1』が、次の世界規模での劇場公開作品になると見られています。
予算は変わらずも、戦略に変更あり
Appleが年間10億ドル(約1,423億円)を映画に投資するというコミットメントは変わらないものの、公開方法を含めた戦略は見直されていくとのことです。
Appleは年間12本程度の映画を制作し、そのほとんどを予算1億ドル(約142億円)以下で制作する見通しだと関係者は述べています。
まだ映画ビジネスを理解できていない?
Appleなどの大手ハイテク企業は何十億ドルも投じてハリウッドにスタジオを設立しましたが、いまだに映画ビジネスを完全には理解できておらず、試行錯誤を続けているようです。
業界のベテランによれば、ハイテク企業のプロモーション費用が不足しているとのことです。Appleはサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)映画祭でプログラムを担当していたマット・デントラー氏に映画スタジオの運営を任せ、適材適所を図っているようですが、それでも劇場公開の突然の中止など、混乱を招いているようです。
Source: Bloomberg
Photo: Apple