半導体の供給不足でもAppleは部品価格の見直しチャンスか

Apple サプライヤー責任進捗 報告書 2019

Apple サプライヤー責任進捗 報告書 2019
 
チップを始めとした半導体の世界的な枯渇が、iPhoneやMacなどのApple製品にも影響を与えるのは想像に難くありません。しかし、一部のアナリストはこの枯渇によって、逆に一部の部品価格が改善されると見ているようです。

枯渇に多くのベンダー悲鳴

一般的には、需要の勢いが供給を上回れば価格は上がり、下回れば価格も下がると考えられています。事実、2021年3月に半導体企業ルネサスの国内工場で起きた火災は、チップの供給不足に拍車をかける事態に発展しました。ところがWedbush証券によると、半導体の世界的な供給不足に関しては、長期的にはAppleが調達する一部部品の価格に恩恵をもたらすそうです。
 
同証券でアナリストを務めるマット・ブライソン氏は、ウェハーの入手困難さが増しただけでなく、生産設備の拡張が追いついていないことが、チップの供給不足問題を長期化させると見ています。比較的余裕があると思われていたXiaomiまでも需給バランスの崩壊を指摘したように、すでに枯渇は「ばかげた水準」にまで到達しており、スマートフォンベンダーなどに甚大な悪影響を及ぼしているとのことです。

契約を見直すチャンス?

供給不足が長期化すると、部品価格を改定するために契約の見直しが全般的に行われます。しかし、これにはTSMCのようなファウンドリのみならず、他の部品サプライヤーとの契約も含まれます。
 
チップ価格の上昇こそ避けられないものの、有機EL(OLED)ディスプレイを供給するSamsungとの交渉がそうであるように、Appleはこれまでサプライヤーの多くに対して自社に有利な条件での契約に成功してきました。つまりApple側の強気な交渉で、逆に一部の部品価格はAppleの狙い通りに改定が見込める可能性もあるというわけです。
 
また、チップを製造するファウンドリにとってもAppleは“上客”です。Apple SiliconやiPhoneの「A〜」シリーズを手掛けるTSMCがAppleを最優先するだけでなく、Apple側も危機に備えて在庫を十分に確保していると見られており、影響は軽微だと考えられています。
 
 
Source:AppleInsider,9to5Mac,NewsBytes
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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