Facebook、中国で商標権裁判に勝利―アップルとの明暗に「媚中だから」との疑惑

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    北京市高級人民法院は8日、中国において「Facebook」の商標独占権問題で、Facebookを支持し、「臉書(face book)」の商標権を取得していた珠江飲料に否定的な判断を下しました。くしくも同様の裁判でアップルが敗北した矢先であるだけに、政治的圧力が関与したのではないかとする指摘が上がっています。

    現地企業は伝統的な固有名詞だと主張

    「臉書(face book)は非常に中国的なものであり、伝統的な歌劇にも出てくる」と話すのは、飲料メーカーである珠江飲料のマーケティング責任者Liu Hongqun氏です。
     
    珠江飲料は2011年に同名で商標を登録していただけでなく、2014年には中国の商標当局である商標評審委員会を得ています。そのため同氏は、SNSのFacebookは世界的に知られているブランドではあるものの、「中国では2009年よりアクセスが遮断されているため、ほとんど誰も使っていないではないか」と強く訴えています。
     
    一方で北京市高級人民法院は、珠江飲料に対する商標登録の認可はすでに取り消されていたことを指摘、珠江飲料が敗訴した一審同様に、Facebookを支持する考えを今回の判決で示しました。

    アップルとの差に疑惑の声も

    しかし先月に、高級レザー製品を販売する地元企業が「IPHONE」の名を冠してブランド展開していた件について、アップルに対し「iPhoneブランドが『(中国の)国民になじみがあり広く知られていた』ことを、アップル側が証明できなかった」とする不利な判決が下されたばかりであったことをもって、今回の裁判に政治的な関与を見て取る人間もいるようです。
     
    米メディアThe Wall Street Journalは、「Facebookは結局のところ、常務委員と握手していた。(中国政府が)彼らに商標権をあげないわけがない」とする中国SNS上でのユーザーの声を紹介し、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が習近平主席と会談したり、机の目立つ所に同主席の著書を配置したりするなど、普段から「中国に媚びていること」が奏功した可能性があると示唆しています。

    実際に国内で展開していたかが鍵?

    Facebookとアップルの裁判での最大の違いは、怪しげな現地企業が商標権を獲得する前に、国内において実際にサービスや製品を展開していたかどうかでしょう。
     
    確かにアップルが中国でiPhoneの商標登録を行ったのは2002年でしたが、実際に同端末が販売開始されたのは、新通天地が2007年に商標権を取得した後の2009年でした。一方でFacebookは2009年にアクセスを遮断されてこそいれど、珠江飲料が2011年に商標登録を行う以前から中国国内でサービスを実施していました。
     
    このような違いが、両社に対する判決内容の差を生んだ可能性はあります。とはいえ、今回Facebookが中国で勝訴したことは、勝手な商標登録に悩む他企業にとって大きな追い風となることは間違いありません。
     
     
    Source:WSJ
    (kihachi)

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