米大手携帯キャリアのユーザー位置情報、1台500円で売買されていた

    "Google Maps" by Thos Ballantyne/Flickr

    "Google Maps" by Thos Ballantyne/Flickr
     
    アメリカの大手携帯キャリアが、ユーザーの位置情報を外部の一般企業に販売していると報じられ、話題になっています。位置情報の価格は、端末1台あたり500円ほどでした。

    ユーザーの同意なく位置情報が売買される

    T-Mobile、Sprint、AT&Tといったアメリカの大手携帯電話キャリアが、ユーザーの位置情報を外部の一般企業に販売し、その情報がブラックマーケットで売買されている、と米テクノロジー系メディアMotherboardが報じています。
     
    捜査機関が犯罪捜査などの目的で、裁判所の令状によって位置情報の提供を求めることはありますが、ユーザーへの十分な確認もなく位置情報が一般企業に販売されていました。
     
    携帯電話事業者の業界団体、CTIA (Cellular Telecommunications Industry Association) はユーザーの位置情報を外部に伝えるためには「ユーザーへの通知」と「ユーザーからの合意取得」が必要と定めていますが、その制度は機能していないようです。

    3万円と携帯番号を渡したら位置情報が手に入った!

    Motherboardが、対象者の同意を得てT-mobile契約者の携帯電話番号と300ドル(約33,000円)を「バウンティハンター」に渡したところ、ニューヨーク市内の数ブロックの範囲で位置情報を特定できる情報が購入できた、とのことです。
     
    アメリカでは制度により、逮捕された被告人が保釈される際に支払う保証金を肩代わりする、保釈保証業者が存在します。しかし、高額な保証金の返済を踏み倒そうと、被告人が逃亡する場合があります。
     
    バウンティハンターとは、逃亡した被告人を探し出して保釈保証業者に引き渡し、成功報酬を稼ぐ人々で、武器など荒っぽい手段が使われることもあります。

    販売価格は1台あたりたった500円

    対象となるユーザーの位置情報を特定できたバウンティハンターは、大手携帯キャリアから入手したリアルタイムの位置情報を、ハッキングや通信ネットワークに関する専門知識もなしに入手できたそうです。
     
    Motherboardによると、ユーザーの位置情報は、位置情報を活用してクレジットカード詐欺などを防ぐサービスを携帯キャリアに提供しているZumigoという企業が、Microbiltという企業に十分な確認もなく販売し、自動車販売業者や不動産管理業者、そして保釈保証業者やバウンティハンターがMicrobiltから情報を購入している、とのことです。
     
    Motherboardが入手したMicrobiltの価格表には、ユーザーの位置情報は全携帯キャリアで利用可能と案内されており、価格はデバイス1台あたり4.95ドル(約500円)から購入可能で、リアルタイムで追跡可能な位置情報の単価は12.95ドル(約1,400円)でした。
     
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    T-mobile、ユーザーの位置情報の流出認める

    Motherboardの取材に対し、T-mobileは、ZumigoがMicrobiltと関係があったことを認め、再発防止策としてZumigoからの位置情報要求をすべてブロックする、と述べています。
     
    AT&Tも同様に、Microbiltへの間接的な情報提供があったことを認め、今後は情報が渡らないよう間接的関係を絶った、と語っています。
     
    Sprintは、Microbiltとの関係について明言していませんが、ユーザーのプライバシーとセキュリティの保護を最優先するとコメントしています。
     
    なお、大手キャリア4社の残る1社であるVerizonはMotherboardからの要求に応じていません。
     
     
    Source:Motherboard
    Photo:Thos Ballantyne/Flickr
    (hato)

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