Apple WatchとMac miniが非カーボンニュートラルに〜予測済みだった?

Apple WatchとMac miniから「カーボンニュートラル(Carbon Neutral)」の表記が消えたことが話題になっています。これは、欧州連合(EU)がAppleの環境施策について「カーボンニュートラルと宣言できるほどの立証性がない」と判断したためとされています。
ある意味予測済みだった?
Appleは2023年秋、同社初のカーボンニュートラル製品としてApple Watch Series 9およびApple Watch SE(スポーツループとの組み合わせ)を発表しました。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を「実質ゼロ」に抑えるという概念です。
Appleはリサイクル素材の積極的な使用や再生可能エネルギーの導入などを試みてきましたが、それだけでは不十分であったため、温室効果ガスの相殺策として「カーボンオフセット」を利用してきたことが知られています。
カーボンオフセットとは、製品のサプライチェーン内で削減しきれない温室効果ガスの排出を、森林保全などへの投資によって埋め合わせる仕組みです。
Appleは2023年のApple Watchや、2024年のApple WatchおよびMac miniにおいても、完全にはカーボンニュートラルを達成できず、カーボンオフセットを利用して「カーボンニュートラル」としていたのですが、これがEUの基準では立証性を欠くと判断されたようです。
ドイツでAppleのカーボンオフセットが問題視
すでに2024年8月には、ドイツの裁判所がAppleのカーボンオフセットについて「特に存続性の面で問題がある」と指摘していました。
Appleは「グリーンデザート(Green Deserts)」と呼ばれるユーカリの単一栽培プランテーションをカーボンオフセットとして利用していましたが、このプロジェクトには
- 2029年以降の土地確保が25%にとどまること
- ユーカリの単一栽培が生態系の多様性に悪影響を及ぼすこと
という2点の問題があるとされていました。
EUでは2026年9月から、実質性を伴わない「カーボンニュートラル」などの環境表現を禁止する見通しです。Appleはそれを先取りするかたちで、すでにカーボンニュートラルの表記を取りやめていたことが明らかになった、というわけです。
環境のページから「カーボンニュートラル」の表記を削除
実際にApple公式サイトの環境関連ページを見ると、従来あった「カーボンニュートラル」という表記が完全に削除されていることがわかります。


Photo: Apple