Uber社長、Appleをだまそうとしてクック会長に叱責される

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    配車サービスで知られるUberが、Appleのポリシーに反して個々のiPhoneを追跡していたことがAppleにばれ、クックCEOに「UberアプリをApp Storeから削除する」と警告されていたことがわかりました。
     
    米New York Timesが、Uberの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のトラビス・カラニック氏についての詳細な記事のなかで、Appleとの「もめごと」について触れています。

    ドライバーの詐欺行為に悩む

    同紙によれば、Uberは2014年当時、中国を中心に、ドライバーによる詐欺行為に悩まされていました。一部のドライバーが盗難iPhoneを入手、偽のメールアドレスを使って大量のUberアカウントを設定し、各アカウントから配車サービスを依頼していたのです。
     
    Uberではより多くの顧客を乗せたドライバーには報奨金を提供していたため、こうした詐欺行為によって荒稼ぎをしていたのでした。

    iPhoneの追跡のためコードを埋め込む

    詐欺行為を防ぐため、Uberの技術者らが各iPhoneを識別するためのコードをアプリ経由で埋め込むというプロセスを開始しました。これは「フィンガープリンティング」と呼ばれ、端末IDやCookieに関係なく、デバイス判定を行なうことができます。
     
    しかしAppleは、iPhoneにおけるフィンガープリンティングの使用を禁じています。しかもUberは、iPhoneが初期化されても、コードが消えないようにしていました。

    クックCEOから呼び出し。アプリ削除を警告

    Appleにこの事実が露見することを恐れたカラニックCEOは技術者に命じ、Appleのカリフォルニア州クパチーノ本社に「ジオフェンス」を張りました。これは特定範囲の仮想境界線を意味しますが、この範囲内ではUberのフィンガープリンティングが見えないようにしたのです。
     
    しかしこの試みはすぐにAppleにバレてしまいます。本社以外の場所に勤務するApple技術者が気づき、報告したからです。
     
    2015年初め、Appleのティム・クックCEOはカラニックCEOをApple本社に呼び出し、フィンガープリンティングを今すぐやめないと、UberアプリをApp Storeから削除すると警告しました。
     
    App Storeからのアプリ削除は、Uberにとって大打撃です。カラニックCEOは即座に同意したそうです。
     
     
    Source:New York Times
    Photo:Facebook(Uber)
    (lunatic)

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    この記事を書いた人

    元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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