チップの不足と生産コスト上昇でiPhoneも値上げされる?

Apple A14 Bionicの宣伝の画像
 
世界的なチップ不足や値上げによって製造コストが上昇したぶんを、Appleが消費者価格に転嫁するかどうかに注目が集まっています。

チップ不足にTSMCの値上げ

半導体価格は2020年第4四半期(10月〜12月)頃から上昇を続けており、スマートフォン業界に限らず、自動車メーカーなど様々な企業がチップの確保に躍起となってきました。さらにこうした事態に追い撃ちをかけるかのように、今後3年間で1,000億ドル(約11兆円)とも言われる研究開発費の増大などを理由として、TSMCがチップ価格を10%〜20%値上げすることを明らかにしています。
 
世界最大のファウンドリであるTSMCがここまで大幅な値上げを敢行するのは近10年で初とされており、供給不足と値上げのダブルパンチによって、Nikkei Asiaは2022年以降、多くのメーカーがコスト上昇をデバイス価格に転嫁するだろうと見ています。

ハイエンドモデルに転嫁される可能性大

TSMCはAppleに対しては3%の値上げに留めるようですが、Qualcommを筆頭に様々なチップ開発企業も同様に値上げの影響を受けることは留意しておく必要があるでしょう。言うまでもなく、iPhoneは「A〜」シリーズ以外にも様々な半導体で構成されています。
 
家電と比較して半導体の占める割合が高いスマートフォンやPCは、とりわけ小売価格への影響が顕著になると予想されています。例えば、Appleを除くスマートフォンメーカーの純利益率は5%〜10%程度だとされており、コスト上昇は死活問題です。
 
そのため各社は、利益の出にくいローエンド〜ミッドレンジのスマートフォンよりも、利益分を上乗せしやすいハイエンドモデルに力を入れるのではないか、と調査企業Counterpointは推測しています。

Appleはどう動く?

価格上昇が予想よりも早く訪れる、すなわちiPhone13シリーズから値上げが始まると見る向きも一部にありますが、同シリーズに搭載されるA15チップはTSMCの値上げ発表前に発注されているため、販売価格に影響が及ぶことはないとの見方が一般的です。
 
ただし、今後しばらくはチップの価格が高止まりする可能性が高いことや、2022年以降はTSMCによる値上げの影響を受けることを踏まえると、AppleもiPhone14以降ではコスト上昇ぶんをどうするかの決断を迫られることになるでしょう。
 
米中貿易摩擦による関税上昇は販売価格に転嫁せず、自らの利益を削ることを選択したAppleですが、売上の中核であるiPhoneで同じ判断が下されるとは限りません。
 
 
Source:Nikkei Asia,MacRumors
(kihachi)

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