物価高騰でApple本社に優秀な人材集まらず〜オフィスの分散化に取り組む

Apple Park AppleEvent 2020年10月
 
世界中から優秀な人材を確保することに余念がないAppleですが、シリコンバレーが位置するサンフランシスコ・ベイエリアの生活費が高騰することによって、採用にも影響が出ているようです。

物価高で優秀な人材が集まらない

Appleの事情に詳しいマーク・ガーマン氏がBloombergで報じたところによると、シリコンバレーでの雇用が同地区の物価の高さによって非常に難しいものとなっており、Appleの採用チームを苦しめているそうです。
 
本社のあるApple Parkに通うには、サンフランシスコ・ベイエリアに居を構える必要がありますが、地価を始めとして到底普通の給料では住むことができないため、結局採用でマッチングせず……というわけです。
 
Bloombergの記事では、一般的に見て高収入であるにもかかわらず、同地区の並外れた生活費を支払うのがやっとで、子供の大学進学費用や長期的な貯蓄などに手が回らないエンジニアが紹介されています。
 
2019年の時点でも、物価の高騰によって住宅保有率が下がり、消防士や救急隊員、教師といったコミュニティ運営に不可欠な人々が住めなくなっていることが問題視され、Apple25億ドル(約2,750億円)の基金を打ち出すことを発表していました。
 
こうした状況を打開するべく、Appleは本社のあるクパチーノからの分散化を最近になって進めています。フロリダやマサチューセッツ、テキサスと米国内だけでなく、イスラエルやアジアの一部、ドイツなど、数年前から立て続けにオフィスを開設しており、物価の安い地域で、優秀な人材を確保することに取り組んでいます。

オフィスの建設費用は1,000億円超

もちろん、Appleが各地域に設立するのは小規模なオフィスではありません。
 
テキサス州オースティンノースカロライナ州に建設される新キャンパスは、それぞれ10億ドル(約1,100億円)が投じられる見込みです。Apple Parkの総工費が50億ドル(約5,500億円)だったことを思えば、なかなかの規模になると考えられます。
 
最終的にはシリコンバレー以外の地域で数万人の雇用が創出される見込みです。
 
 
Source:Bloomberg via AppleInsider
(kihachi)

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