AppleサプライヤーDialogはどのようにiPhone病を乗り切ったか

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大幅な売上増加が見込まれるため、多くの企業がiPhoneのサプライチェーン入りを目指していますが、そこには大きなリスクもあることを知っておいたほうが良いかもしれません。iPhoneのパワーマネジメント集積回路(PMIC)を供給してきた英Dialogは、ようやく最近になってiPhone病(iPhone Disaster)から回復しつつある、と米メディアBloombergが伝えています。

iPhoneサプライヤーになることのリスクとは?

英企業のDialog Semiconductorは、総売上高に占めるAppleの割合が一時70%を超えるほどの、Appleへの依存度が高い企業として知られていました。
 
iPhoneのサプライチェーンに入ることで、大幅な売上増加が見込まれる一方、厳しい価格交渉を迫られたり、最悪の場合、Appleが発注していた部品の内製化に乗り出す場合もあります。
 
売上高の多くをAppleに依存している場合は、Appleの動きに特に注意しなければなりません。でなければ、Appleに長年画像処理チップ(GPU)を提供していた英Imagination Technologiesのような顛末(てんまつ)をたどることになってしまいます。

中国政府関連ファンドに買収されたImagination Technologies

Imagination TechnologiesのグラフィックチップシリーズPowerVRは、iPhone4に搭載されたApple A4から、iPhone7 Plusに組み込まれたApple A10 Fusionまで、近代iPhoneモデルのすべてのSoC(システム・オン・チップ)に使用されてきました。
 
しかしながら、2017年4月にAppleによるGPUの内製化が発表されると、Imagination Technologiesの株価は60%下落し、たちまち破産寸前にまで追い込まれ、最終的に中国政府関連ファンドに買収される運びとなりました

Dialogは困難を乗り切ったか

AppleがPMICの内製化に乗り出すことになり、2018年に入ってからAppleからのPMICの発注が30%減少したDialogでしたが、Appleが3億ドル(約336億円)をパワーマネジメント集積回路のライセンス料として支払い、300人以上のDialog従業員を雇い入れるという交渉を進めたこともあり、Apple依存脱却への道筋が見えてきている、と報じられています。
 
Dialogは、AirPodsやMacの部品を供給しつつ、2022年までにAppleへの依存度を40%以下に減らすことを目指しています。
 
Dialogの株価は2018年から順調に上がり続けており、現在では昨年の最低値の3倍にまで持ち直しています。
 
 
Source:Bloomberg
(lexi)

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