Appleは、iPhone18 Proシリーズなど今後製造するiPhone向けに、新たなDRAMサプライヤーを追加することを検討していると報じられています。狙いは、DRAMの仕入れ価格の抑制と、必要数量の安定確保にあるとみられます。
もっとも、新規契約先の候補とされる中国CXMTは、米国防総省の懸念先企業リストに掲載されています。そのため、AppleがCXMT製DRAMを採用できるかどうかは不透明です。そうした状況の中、AppleはCXMT製DRAMの評価試験を開始した可能性があります。
中国DRAM採用を検討か
Appleはこれまでも、中国サプライヤーを部品調達網に加えることで、既存サプライヤーとの価格交渉力を高めようとしてきました。
同様の事例として、Appleが中国YMTC製NANDフラッシュメモリを新規サプライヤーとして追加し、中国向けiPhoneに搭載する計画を進めていたと報じられたことがあります。
しかし、米商務省産業安全保障局(BIS)がYMTCをエンティティリスト(禁輸措置対象のリスト)に追加したことで、この計画は最終的に断念されたと伝えられていました。
CXMTは現時点でエンティティリストには掲載されていないものの、米国防総省の懸念先企業リストに含まれているようです。AppleがCXMTとの新規取引を開始しようとすれば、米政府が懸念を示す公算があります。
米政府対応と品質評価を継続して実施中?
Appleは、CXMTとの取引開始について、米政府に許諾を求める働きかけを行っているとこれまで報じられていました。
最新の報道では、Appleは米政府への働きかけを続けながら、CXMT製DRAMの評価試験も開始したとのことです。これは、米政府から許諾を得られる場合に備え、早期に品質や性能を確認するための動きとみられます。
仮に許諾取得の見通しが不透明であっても、評価試験を先行させておけば、採用可能となった際に量産準備へ移行しやすくなります。
YMTCと同様に難航か
CXMT製DRAMの採用を進める方法として、中国向けiPhoneに限定して搭載する案が検討される可能性があります。しかし、YMTCの事例を踏まえると、米政府から許諾を得るのは容易ではなさそうです。
Appleにとって、中国市場向けモデルだけであっても、懸念先企業とされるサプライヤーの部品を採用することには政治的リスクがあります。
サプライチェーンの多様化は重要ですが、米中関係や輸出規制の影響を受けやすい点が、CXMT採用における大きな制約になります。
原価削減効果は限定的?
AppleがCXMT製DRAMを採用できたとしても、iPhone18 Proシリーズの製造コストを大きく引き下げる効果は限定的とみられます。
CXMTを新規サプライヤーに加えることで、DRAMの必要数量を確保しやすくなり、既存サプライヤーとの価格交渉でも一定の効果が期待されます。
その反面、DRAM価格の高騰やAIサーバー向け需要の増加を考えると、サプライヤー追加だけで部品原価を大幅に下げるのは難しい状況です。
そのため、Appleの総部品原価削減や供給安定化には一定の意味があるものの、iPhoneの販売価格維持や値下げに直結する効果は小さいとの見方もあります。
iPhone値上げ抑制に期待
消費者としては、CXMT採用の可否に関係なく、iPhone18 Proシリーズの値上げ幅ができるだけ抑えられることを期待したいところです。
AppleはiPadやMacで大幅な値上げを行いましたが、iPhoneは同社の売上の中核を占める製品です。販売価格の上昇はユーザーの買い替え判断に直結するため、AppleがiPhoneの値上げ幅を慎重に調整する可能性はあります。
特に日本市場では、円安の影響も加わるため、米国価格の小幅な値上げであっても、日本での販売価格には大きく反映される恐れがあります。
値上げ予想額に大きな開き
iPhone18 Proシリーズの予想販売価格については、いずれの情報源も値上げを見込んでいます。ただし、予想されている値上げ幅には大きな開きがあります。
最小では税込7,500円程度の値上げ、最大では税込45,000円程度の値上げになるとの見方もあります。税込10,000円前後の値上げに抑えられれば、ユーザーへの影響は比較的小さく済みます。
しかし、日本では為替の影響が大きく、DRAMやNANDフラッシュメモリなどの部品価格も上昇しています。そのため、値上げ幅を小さく抑えるのは簡単ではありません。
Photo: Apple Hub/Facebook
