Apple、AI統合ISP搭載カメラで低照度下撮影写真の画質向上目指す

iPhone 2025 2026 2027 AH

Appleが、DarkDiffと呼ばれるAIを統合したISP(Image Signal Processor、イメージシグナルプロセッサ)を用い、暗所および低照度下での写真撮影における画質向上を目指す研究を進めていることが明らかになりました。

従来の画像処理とは異なるアプローチにより、夜景撮影や屋内の低照度環境での画質改善が期待されています。

自社設計イメージセンサーとの同時実装も視野に

Appleは、自社設計のイメージセンサーを開発しているとの噂もあり、将来的にはこのDarkDiff AIを統合したISPと、自社設計イメージセンサーを組み合わせて実装する可能性も考えられます。

センサーとISPを一体として設計できれば、従来の部品組み合わせでは難しかった処理最適化が可能になり、カメラ性能のさらなる引き上げにつながるでしょう。

DarkDiff AI搭載ISPによる画質改善の仕組み

現在のiPhoneを含むスマートフォンでは、暗所や低照度下で撮影した写真に対し、撮影後処理としてノイズ除去が行われています。

しかし海外メディアの報道によれば、DarkDiff AI搭載ISPではAIがISP内部に統合されているため、撮影時点で暗所の状況を推定・補正できる点が大きな特徴です。これにより、従来のような強いノイズ低減処理によって被写体の質感が失われる、いわゆる「過剰なスムージング」を抑制できるとみられています。

その結果、三脚を用いて従来よりも数百倍長い露光時間で撮影したかのような、細部まで描写された写真が得られると期待されています。

夜間撮影での実用的なメリットは大きい

実際に三脚を用いて長時間露光撮影を行う場合、被写体が完全に静止している環境を作り出すことは容易ではありません。

DarkDiff AI搭載ISPによって、従来と同じシャッタースピードで長時間露光に近い効果が得られるのであれば、夜景撮影や室内撮影における実用的なメリットは非常に大きいと考えられます。

これは単なる画質向上にとどまらず、「失敗しにくい夜間撮影」という体験価値の向上にもつながります。

基幹部品を自社開発へと置き換え続けるApple

イメージセンサーを含むカメラモジュール関連部品は、基幹部品において、Appleが自社開発品へと置き換える最後の領域になる可能性があります。

Appleはすでに、次の基幹部品を自社設計・実装しています。

  • Appleシリコン(AシリーズおよびMシリーズチップなど)
  • Cシリーズセルラーモデム
  • N1ワイヤレスチップ

イメージセンサーについても、従来のソニー製に加え、今後はSamsungからの調達が進むとみられています。

ディスプレイ内製化断念との対比で見える現実的判断

一方で、AppleはマイクロLEDディスプレイの内製化を計画しながらも、最終的には妥当な製造コストでの実現が難しいとして断念したと報じられていました。

この点を踏まえると、Appleは「内製化ありき」ではなく、性能向上とコストのバランスが取れた段階で製品への実装を進めるという、極めて現実的な判断を続けていることがうかがえます。

DarkDiff AI搭載ISPと自社設計イメージセンサーの組み合わせが実現すれば、iPhoneのカメラはハードとソフトの両面で、また一段階進化することになりそうです。

Photo:Apple Hub/Facebook

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