スマートフォンメーカーのVivoは独自開発した画像処理チップである「Vivo V1」を発表しました。このチップは同社の新型スマートフォンであるVivo X70 Pro/Pro+に搭載されます。
一方、Vivoは独自のシステム・オン・チップ(SoC)の開発には当面取り組まない考えを明らかにしました。
大容量キャッシュでリアルタイム画像処理を可能にしたVivo V1
Vivo V1の特徴は、32MBもの大容量キャッシュを搭載した点です。
パソコン向けのCPUであるIntelのCore i9-11900Kですら最も大きいL3キャッシュの容量が16MBであり、Vivo V1のキャッシュ容量がかなり大きいことがわかります。
この大容量キャッシュは、リアルタイムでの画像処理を可能にするためです。
一般的にカメラセンサーから送られてくる画像データはサイズが大きく、暗い場面での撮影などでは複数フレームのデータを使って処理をすることもあり、容量が大きいDRAMにデータを格納する必要があります。
しかしながら、DRAMへのアクセスには時間がかかるため、データの入出力に時間を取られ、リアルタイムでおこなえる画像処理にかけられる時間に大きな制限がかかります。
これに対して、チップ内に高速アクセス可能な大容量キャッシュを備えることにより、短時間でのデータ入出力が可能となり、低遅延のリアルタイムノイズリダクションなどの高度な処理が可能となるのです。
消費電力を50%削減
また、Vivo V1は、画像処理のアルゴリズムをハードウェアで実装しています。
一般に、同じアルゴリズムを処理する場合、ハードウェアで実装したほうが、ソフトウェアで実装してCPUで処理するよりも高速で、かつ消費電力が少なく済みます。
Vivo V1ではこれにより、50%の消費電力削減を実現したそうです。
Vivo V1はVivoの新型スマートフォンであるX70 Pro/Pro+に搭載されています。
SoC開発には当面取り組まない
一方、Vivoの胡柏山執行副総裁は、スマートフォン向けのSoC開発には当面取り組まない考えを示しました。
これは、短期的に能力や資源に限りがあり、さらに業界にはすでに多くの成熟企業が存在するため、SoC開発への資源投入は必要ないと考えているからだそうです。
スマートフォンメーカーのなかでは、Apple、Google、Samsungが独自SoCを開発し自社のスマートフォンに搭載しています。
Source: Gizchina, AFP BB News
(ハウザー)