「不道徳かつ卑猥」理由にTikTokを遮断したパキスタン、禁止措置を解除

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動画配信アプリ「TikTok」の利用を道徳上の理由で禁止していたパキスタンが、禁止措置を10日間で解除していたことが分かりました。

ダウンロード数世界一の人気アプリ

中国発の動画配信アプリTikTokは、日本国内でも1,000万人近くのアクティブユーザーがおり、世界では累計で20億回以上ダウンロードされています。2020年第3四半期(7月〜9月)でも、App StoreとGoogle Playともにダウンロード数と課金額で1位となっています。
 
しかし、若者がこぞって熱狂するアプリの存在を快く思わない人間も少なくありません。パキスタン通信局(Pakistan Telecommunication Authority:PTA)は先日、TikTokが「不道徳かつ卑猥」な動画を放置しているとしてアプリへのアクセスを遮断しました。
 
反中ムードが高まっているインドのように遮断は当分の間続くかと考えられていましたが、「パキスタンの社会規範と法律に基づいた」動画を今後は配信するとTikTokが当局に申し出たとして、PTAは一転してアクセス禁止を解除、異例の禁止措置は実質的に10日間で終了しました。

現地法に則って自主削除していたが

PTAは禁止措置を実施するにあたり、国民からの苦情が数多く寄せられたためと主張していましたが、あながち根拠を欠いているわけではないようです。
 
パキスタンはTikTokのインストール数で世界12位(4,300万人のユーザー数)ですが、動画の削除数では2020年前半で世界3位となっています。具体的にどのような動画かは不明ですが、政府の要請ではなく、多くは現地法に違反しているためTikTokが自主的に削除したものだと考えられています。
 
グローバル企業が現地法に則って国別の規制を行うことは珍しくなく、Appleも中国のApp StoreではVPNアプリなどを一斉削除しています。

米国でもTikTokへの風当たりは強い

TikTokが問題となっているのは、パキスタンだけではありません。
 
TikTokが中国製アプリであることを理由に、米トランプ政権は安全保障上の問題があるとして、同アプリをApp StoreやGoogle Playから削除するよう求めています。ただし、米国の場合は裁判所が禁止措置の差止め命令を下しており、トランプ政権や米司法省が禁止の法的根拠を欠いているのではないかとの指摘もなされています。
 
また先日は、TikTokとAppleに対して今まで以上に厳しい監視の目を向けるよう、Facebookのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が政府に要請していたことも明らかとなりました。
 
 
Source:The Verge
(kihachi)

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