Appleとアイルランドの関係は終焉に向かうのか?

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Appleは長年アイルランドで租税回避を行なってきましたが、同国でのデータセンター建設遅延から双方の仲に暗雲が立ち込み始め、今月21日、アイルランド首相のレオ・バラッカー氏が滞納している税金の支払いをAppleに求めたことで両者の関係は終焉に向かうのではないかとBloombergは報じています。

Appleとアイルランドの30年続いた関係

Appleは2014年までアイルランドに2つの子会社を置き、巧みな資金運用操作と同国の課税優遇措置を利用し、5年間で1,200億ドル(約13.39兆円)以上の利益を得ていたといいます。
 
テック企業の間でよく使用されていたダブル・アイリッシュと呼ばれるこの租税回避テクニックは、2014年に各国の強い反対からEUにより禁止されます。
 
すでに怪しい雲行きを察知していたのか、Appleは2014年に租税回避のための子会社をアイルランドからフランス・ノルマンディ沖のジャージー島に移転させていたことが今月発覚しました。
 
Appleは現在、米国外に2,528億ドル(約28.2兆円)もの資産を保持しているといわれており、アイルランド子会社に2020年まで適用される課税待遇措置が終了するまでの間に次の対策を練るのではないかと考えられています。

座礁したデータセンター計画

Appleのアイルランド拠点のデータセンター建設計画は、一部の地域住人の反対から建設許可が裁判所により保留されたことなどにより2年以上遅らされてきました。
 
11月にアイルランド首相がAppleのティム・クック最高経営責任者(CEO)と直接面会したものの、データセンターに関する具体的なことはいっさい語られず、Appleはすでにヨーロッパ拠点の2施設目のデータセンターをデンマークに建設していることから、計画は頓挫したのではないかといわれています。

痺れを切らしたアイルランド首相

データセンターの誘致が思うようにいかなかったアイルランドのレオ・バラッカー首相は21日、同国が欧州委員会から求められているAppleへの追徴課税処分に関して同社に通達し、130億ユーロ(約1.73兆円)の滞納税を政府の設置するエスクロー勘定へと支払うよう促しました。
 
アイルランド政府は今年の1月3日までにAppleから滞納税金を回収しなければならないはずでしたが、これまで納税遅延について公に誰かを非難することをあえて避けてきました。
 
現在でもアイルランドには、6,000人のApple従業員が在籍しているとみられています。
 
 
Source:Bloomberg
Photo:EU2017EE Estonian Presidency/Flickr
(lexi)

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