Apple、FBIの「iPhoneロック解除できた」発表で終了した訴訟にコメント

ティム・クックCEO
 
テロ事件の容疑者が持っていたiPhoneのロック解除をめぐるAppleFBIの争いは、FBIが独自にiPhoneのロックを解除したと発表して終了しました。これに対して、Appleがコメントを発表しています。

Appleとの法廷闘争が急転直下、FBIが終結宣言

昨年12月のカリフォルニア州で発生した銃乱射テロ事件の捜査を目的として、容疑者のiPhoneのロック解除を求められたAppleが「顧客のプライバシーのため」と断固拒否したことで、世界的に注目されました。
 
しかし、先週になってFBIが突然「Appleの支援が無くてもロック解除できる見通しが立った」として公聴会の延期を申し出、そして日本時間29日早朝、FBIが「iPhoneのロックが解除できた」と発表、裁判所での争いに終結宣言を出しました。

Apple「この訴訟は最初から起こされるべきではなかった」

これに対して、Appleがメディア向けにコメントを発表しました。ティム・クックCEOが顧客向けに発表した声明と同じスタンスを保ち、今後も顧客のプライバシーを重んじて、セキュリティ向上に取り組む姿勢を改めて明確にしています。コメントの訳は以下のとおりです。(太字箇所は筆者)
 

Appleは当初から、iPhoneにバックドアを作るようにとのFBIの要求に反対してきました。それは、間違ったことであり、危険な前例を作ることになると信じているからです。政府による訴訟の取り下げによって、バックドアも危険な前例も回避されることとなりました。この訴訟は最初から起こされるべきではなかったのです。
 
私たちは、これまでと同様、政府機関の捜査に協力を続けます。そして、データへの脅威や攻撃がより頻繁で巧妙になる中、私たちの製品のセキュリティ性能を向上させていきます。
 
Appleは、すべてのアメリカ国民そして全世界の人々はデータ保護、セキュリティ、プライバシーが保証されるべきと強く信じています。そのどれかのために1つを犠牲にすることは、人々と国をより大きなリスクにさらすことになるのです。
 
今回の訴訟は、人権の保護とセキュリティやプライバシーについて、国民的議論を巻き起こしました。Appleはこの議論に強く関わり、参加していきます。

「プライバシーと国家」論争の行方に注目

今回の事件はこの1週間ほどの急展開で終結を迎えましたが、世界各国ではテロの脅威が高まっていることもあり、「テクノロジー」や「プライバシー」と「犯罪捜査」をめぐる問題は今後も続くでしょう。今回の一件が、今後の議論に与えた影響は大きいと考えられます。
 
 
Source:The Verge
(hato)

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