総務省の専門委員会で、スマホの残価設定ルールを厳しくする議論が進んでいます。
iPhone15 Proの買取実績を当てはめて計算すると、iPhone18 Proの実質価格は8万円台となり、現在の約1.9倍の水準に上がるおそれがあります。総務省は新ルールの開始時期を示していません。仕組みと購入前の注意点を解説します。
iPhone18 Proの実質価格はいくらになる?
iPhone15 Proの買取実績を当てはめた場合、iPhone18 Pro(256GB)の実質価格は約84,120円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| iPhone15 Pro(256GB)発売時の価格 | 174,800円 |
| iPhone15 Pro(256GB)発売から約2年後の平均買取価格(2025年8月) | 91,412円 |
| ソフトバンクのiPhone18 Pro(256GB)販売価格 | 268,560円 |
| 割引の上限(税込) | 44,000円 |
| ソフトバンクの現在の実質価格(MNP・特典利用料込み) | 43,760円 |
※ソフトバンクの価格は10月上旬時点、MNPは携帯電話番号ポータビリティ、特典利用料は返却時にかかる手数料を指します。
計算の手順は次のとおりです。まず、iPhone15 Proの平均買取価格を発売時の価格で割り、残価率約52.3%を求めます。次に、同じ残価率をiPhone18 Proに当てはめ、免除額約140,440円を算出します。最後に、販売価格から残価と割引の上限を差し引くと約84,120円になります。
試算額には特典利用料を含めていません。現在の43,760円(特典利用料込み)と単純に比べると約1.9倍の水準ですが、条件が異なるため目安として捉えてください。
また、前の世代の機種の2025年8月時点の実績を使った計算のため、実際に認められる残価率とずれる場合もあります。2年後の買取実績がそろっている最新のProモデルは、2023年9月発売のiPhone15 Proです。そのため、iPhone15 Proの実績を使って計算しました。
残価率ごとの実質価格の目安
認められる残価率はまだ分からないため、残価率を仮定して同じ式で計算しました。実際の販売価格には他の条件も関わるので、単純化した目安です。
| 残価率(仮定) | 実質価格 | 24で割った目安 |
|---|---|---|
| 50% | 90,280円 | 約3,762円 |
| 約52.3%(iPhone15 Proの買取実績) | 約84,120円 | 約3,505円 |
| 55% | 76,852円 | 約3,202円 |
| 60% | 63,424円 | 約2,643円 |
単純計算では、残価率60%と仮定しても、実質価格は6万円台となります。販売価格268,560円の場合、残価率が1ポイント下がるごとに免除額は約2,686円減る計算です。
残価設定ルールの見直しはいつから?
開始時期は、現時点の資料では示されていません。総務省の専門委員会は9月に「専門委員会とりまとめ2026(案)」と、寄せられた意見への考え方を公表した段階です。
検討中の案のどれに決まるのか、機種ごとの残価率がいくらになるのかも未定です。今後の議論で中身と開始時期が固まる見通しで、動向を注視したいところです。
残価設定で実質価格が決まる仕組み
実質価格とは、販売価格から残価と割引を引いた金額で、端末購入プログラムで端末を返却する場合の負担額の目安です。返却時に特典利用料がかかる場合は、手数料分も負担に加わります。残価は、端末の返却時に支払いが免除される部分を指します。
例えば10万円の端末で残価5万円、割引2万円なら、実質価格は3万円です。残価が4万円に下がると、実質価格は4万円に上がります。
割引には税別4万円(税込44,000円、ミリ波非対応モデル)の上限が設けられています。中古の買取価格を超えて残価を設定した場合、超えた部分は割引と見なされます。
割引を増やせない以上、実質価格の安さを大きく左右するのは、残価をどこまで高くできるかという点です。今回の見直しは、端末購入プログラムでiPhoneを買う人の負担に関わる話です。
見直し案で何が変わる?検討中の2案
現在はキャリアが端末をグループに分けて残価率を決められるため、含める機種によって残価率をある程度コントロールできます。
テストで点数の高い生徒だけを集めて平均を出せば高く見えるのと同じで、リセールバリューの高い機種だけでグループを作れば、残価率を高く設定することが可能です。
専門委員会はキャリアの裁量をなくす方向で、次の2案を検討しています。
- グループ分けの方法を統一し、キャリアが選べないようにする
- グループ分けをやめ、1機種ずつの残価率を使う
どちらに決まっても、キャリアが機種の選び方で残価を上乗せするのは難しくなるはずです。残価率が下がれば実質価格が上がる仕組みは共通のため、他社でも負担が増えると考えられます。影響の大きさは、各社の現在の残価設定によって変わるでしょう。
基準となる買取データの課題
2025年8月時点のiPhone15 Pro(256GB)の平均買取価格は、260台の取引をもとに算出した数値です。業界団体のデータの更新頻度は半年に1回にとどまります。
業者の買取価格は、転売で利益を出す前提で決まる値段です。業者の価格を端末の価値とみなすと、個人で売った場合の価格より残価が低く見積もられかねません。基準データの選び方も含め、慎重な議論が求められます。
iPhone18 Pro購入前に確認したいこと
慌てて買い替える必要はありませんが、次の3点を確認しておくと安心です。
- 特典利用料を含めた総額で比べる
- 2年後に返却するか、手元に残すかを先に決める
- キャリア間の残価の差は、今後縮まる可能性がある
現在の安い実質価格は、現行ルールで残価を高めに設定できることが一因とみられます。今の条件が続く保証はない点も、頭に入れておきたいところです。
残価設定ルールの見直しは、キャリア間の不公平をなくす一方で、利用者の負担を押し上げる側面も持ちます。新ルールの中身が固まる前に、利用中または利用予定の端末購入プログラムの条件と、返却時にかかる費用を確認してみてください。
Photo:pricekeeda
