iOS27のカレンダーアプリは、自然言語入力機能やデザインの刷新、Siri AIによる機能強化が行われています。今回はカレンダーアプリの新機能をパブリックベータ版で撮影したスクリーンショットと一緒に見ていきましょう。
自然言語入力機能「Smart Event Details」
iOS27のカレンダーアプリでは、ユーザーが長年待ち望んでいた自然言語入力機能である「Smart Event Details」が追加されました。Apple Intelligenceによって、話し言葉で予定を入力するだけで予定の詳細を自動的に入力してくれます。
例えば、上記のスクリーンショットのように「スカイツリーでランチ」と入力すると、キーボードの上部にスカイツリーの場所、12時からの時間の提案が表示され、そこをタップするだけで場所と時間の設定が完了します。加えて入力した内容からタイトルも自動で設定します。
設定アプリでは以下のように説明されています。
Type events in your own words. Apple Intelligence fills in the title, time, location, and invitees as you go.
(イベントの内容を自分の言葉で入力してください。入力していくと、Apple Intelligenceがタイトル、日時、場所、招待者を自動的に補完します。)
手動入力にこだわりたい、誤認識が煩わしい場合は、設定→アプリ→カレンダーでこの機能をオフにできます。
実は、カレンダーの自然言語入力機能は珍しいものではありません。例えば「Fantastical」というカレンダーアプリでは10年近く前から定番の機能です。しかし、Apple純正カレンダーがこれを行う最大の強みはApple Intelligenceの強固なプライバシー基盤にあります。
サードパーティー製アプリのようにデータを広告利用やデータ収集に使用される心配がなく、高度な処理でクラウドサーバーが必要な場合も「プライベートクラウドコンピューティング」によってデータが暗号化され、Appleでも中身を見られない仕組みになっています。
サーバーに送るなら他社と同じと思われがちですが、Appleの強みは「そのサーバーの安全性を自社で担保しており、ユーザーのデータを一切保存・蓄積しないと明言していること」です。
サードパーティー製アプリでは、入力した予定データが外部の汎用クラウドや他社のAIサーバーに送信されるリスクが少なからずあります。一方、Appleの場合はより高度な処理が必要な場合でもApple製の安全な専用サーバーである「プライベートクラウドコンピューティング」にしかデータは送信されません。さらに処理が終わった瞬間にデータはサーバーから完全に消去されます。
Appleの「iPhoneのApple Intelligenceとプライバシー」によると、以下のように説明されています。
プライベートクラウドコンピューティングでは、リクエストに関連するデータのみがAppleシリコンを搭載したサーバで処理され、そのあと削除されます。リクエストがプライベートクラウドコンピューティングに送られても、データは保存されたり、Appleからアクセスできるようになったりすることはありません。データは、ユーザのリクエストを処理するためだけに使われます。
デザインが刷新!カード表示とアイコン化で直感的に
AppleはiOS27において「カレンダー」アプリのデザインを主に2つの箇所でアップデートしました。
- 予定の詳細画面(カードオーバーレイ化)
- 予定の作成・編集画面の整理
予定をタップすると、新しいデザインのカード形式で画面下部からスッと表示されるようになり、片手での操作性が向上しました。予定作成や編集時の各種オプションには上記のスクリーンショットからもわかるように視覚的なアイコンが追加され、一目で何の設定なのかわかるようになっています。
今回のデザイン刷新は「情報の見やすさ」と「予定チェックのスムーズさ」を進化させています。予定の作成画面では設定項目にアイコンが追加されたことで、テキストばかりで地味だった画面が変わり、各項目が何の設定なのか直感的にわかるようになりました。
さらに予定をタップした際に画面下部からスッと立ち上がる「カードオーバーレイ」の採用も見逃せません。詳細をパッと確認し、用が済んだら下にスワイプして閉じるという一連の動作が片手で完結するため、大画面モデルのユーザーにとっても日々のスケジュール確認がより快適になりそうです。
iCloudカレンダーに「予定あり・なし」表示が登場
現代のデジタルカレンダーでは、特定の予定に関して自分のステータスを「予定あり」や「予定なし」として設定し、他のメンバーに公開する機能は一般的です。しかし、これまでのiCloudカレンダーではこの設定ができませんでした。
iOS27ではようやく、Googleカレンダーなどのサードパーティー製カレンダーと同様にiCloudカレンダーでも「表示方法」という項目からステータスを「予定あり」や「予定なし」に設定できるようになりました。
「なぜ今までなかったのか」と疑問に思う部分ですが、このアップデートによりファミリー共有や仕事用としてiCloudカレンダーを本格運用する障壁がまたひとつ消えました。Googleカレンダーなどのサードパーティー製アプリから完全にiCloudカレンダーに乗り換えるユーザーが増えるきっかけになるかもしれません。
「リスト」、「次はこちら」のウィジェットに特大サイズが追加
以前、iOS27で特大サイズのウィジェットが追加されたとお伝えしましたが、カレンダーにも特大サイズのウィジェットが2つ追加されています。「リスト(List)」および「次はこちら(Up Next)」のウィジェットを特大サイズで設定可能です。どちらのウィジェットもこれまで以上に多くのイベントやリマインダーを表示するのに最適なので、予定がぎっしり詰まっている場合はこれらの新しいウィジェットが非常に役に立つでしょう。
特大サイズのウィジェットは画面の多くのスペースを占有しますが、今年後半に発売されるといわれているiPhone Ultraの特大ディスプレイでは特に重宝するはずです。
画面のほとんどを占拠するこのウィジェットは、一見すると邪魔に思えるかもしれません。しかし、以下のような使い方でその真価を発揮します。
- ホーム画面の1ページ目を「ダッシュボード」にする:1ページ目にはこの特大サイズのカレンダーとリマインダーだけを置き、2ページ目以降にアプリを配置する「割り切ったカスタマイズ」
- iPhone Ultraとの相性:噂されている「iPhone Ultra」であれば、この特大サイズのウィジェットを置いても画面に十分な余裕ができ、まるでシステム手帳を開いているかのような視認性になることが期待されます。
Siri AIによる機能強化
※Siri AIは設定から言語・Siriの言語を英語にし、地域をアメリカ合衆国に設定して試しています。
iOS27のSiri AIでは、画面内の文脈やユーザーの個人的な背景を理解できるようになり、カレンダーを管理するためのツールとして非常に優れています。中でも注目なのは、予定の作成画面に追加された「ビジュアルインテリジェンス」ボタンです。カメラの新しいSiriモードを使ってイベントのチラシなどのスキャンができるようになり、Siriがその情報を元に新しい予定を作成してくれます。
例えば、上記のスクリーンショットでは「カメラ」のSiriモードで花火大会のポスターを写すと「Add to Calendar(カレンダーに追加)」と表示されます。タップすると新しい予定の作成画面になり、すでに予定のタイトルや時間、場所などが入力されています。
しかし、Siri AIは日本語で利用できるまでに時間がかかります。年内に英語での利用ができるようになり、日本語を含む他の言語はそれ以降の対応となります。さらに対応デバイスもiPhone15 Pro、iPhone15 Pro Max、iPhone16以降となっており、これ以前の古いデバイスでは利用できない点にも注意です。
機能自体は非常に魅力的ですが、この「日本語対応の遅れ」と「対応デバイスの限定」は、日本のユーザーにとって実用上の大きなハードルになります。
特に拍車をかけているのが先日行われたiPhoneの値上げです。円安やメモリ高騰の煽りを受けて日本国内のiPhone価格は8,000円〜25,000円の値上げが行われ、10万円未満で購入できたiPhone17eも10万円超え、Proモデルともなると20万円近くまたはそれ以上になっています。
「Siri AI」を使いたいという理由だけで値上げされた高額なiPhoneに買い替えるのは、正直なところハードルが高すぎるといわざるを得ません。そのため、Siri AIに対応していない古いiPhoneをお使いの方は無理に今すぐ買い替えたりはせず、中古品やApple認定整備済製品を賢く活用して導入コストを抑えるのが現実的な選択肢となりそうです。
とはいえ、「ビジュアルインテリジェンス」によって手紙や紙の配布物などのアナログな予定管理をスマホだけで完結させる最後のピースが埋まることは確かです。すでに対応デバイスをお持ちの方やiPhoneを買い替える予定だった方にとっては、日本語対応を心待ちにする価値が十分にあるiOS27の目玉機能と言えるでしょう。
