Google側からの発表により、Pixel 10シリーズがAirDropと互換性を持ち、iPhoneとAndroid間のファイル共有が容易になることが明らかになりました。このようなiOSとAndroid間のクロスプラットフォーム化の動きは近年高まっており、RCS(リッチコミュニケーションサービス)や、不審なトラッカーによる追跡アラートなどの実装で両社は協働しています。
AirDropのクロスプラットフォーム化は大歓迎
AirDropは、Bluetooth通信範囲内のデバイスと写真や書類などのコンテンツを共有できる機能で、特に動画などファイルサイズが大きい場合でも高速で送受信できるため、重宝するiOS/iPadOS機能の一つと言えます。
AirDropがGoogle Pixel 10シリーズ以降のAndroidで提供される同等機能「Quick Share」と互換性を持つようになるとのことで、iOS・Android間のファイル共有がこれまでになく容易になりそうです。
iOS18からRCSに対応
最近のiOS・Android間のクロスプラットフォーム化の例として、iOSのRCS対応が挙げられます。RCSは、2023年頃からGoogleがAppleに対して対応を強く求めていたメッセージング規格で、RCS非対応だったことから、iMessageの緑色の吹き出しが差別の象徴のように扱われてきたとされています。
Appleは、2024年9月に正式版がリリースされたiOS18からRCS対応を実現しています。ただし、RCSはiPhone間のiMessage上でのメッセージとは異なり、エンドツーエンド暗号化が施されていないため注意が必要です。
RCSは、従来のテキストメッセージと比べて、より高解像度の写真やビデオ、リンクなどを送信できるのが特徴です。
不審なトラッカー対策でも両社は協働
AppleとGoogleは2024年5月、「Detecting Unwanted Location Trackers(不要な位置情報トラッカーの検出)」という新たな業界規格の作成を発表しており、iOS・Androidを問わず、不審なトラッカーによる追跡が確認された場合にユーザーへアラートが発せられるようになりました。
これは、AirTagなどのBluetooth追跡デバイスを悪用したストーカー行為が横行していることへの対応であり、iOS17.5以降、Android 6.0以降で機能が導入されています。
コロナ禍でもAppleとGoogleは共闘
AppleとGoogleは2020年のコロナ禍でも、濃厚接触の検出・追跡機能のクロスプラットフォームAPIの実装において共闘していたことも忘れてはならないと思います。
このように公の利益が優先される場面では、通常の利益の枠を超えて企業同士が協力し合うのは、なかなか素晴らしいことなのではないでしょうか。
Photo: Google (1), (2)
