Appleは現地時間2月10日、AirTagの悪用を防ぎユーザーを保護するためのアップデートを予定していることを発表しました。
AirTagの悪用には警察と連携
Appleは2021年春に発売したAirTagについて、多くのユーザーの持ち物を見つけるのに貢献している一方で、少数ながらAirTagの悪用が問題になっているのも事実であると認め「AirTagは持ち物を見つけるために開発されており、他人や他人の持ち物を追跡するためのものではありません」と強調しています。
AirTagはプライバシーに配慮して開発されており、エンド・トゥ・エンドで暗号化された「探す」ネットワークを利用し、意図せず追跡されている場合に知らせる機能を盛り込んでいるとして、この流れが業界の標準になることを期待している、とAppleは説明しています。
犯罪目的でのAirTagの悪用に対してAppleは、裁判所や警察からの要求に応じて捜査に協力しており、近日中に米国内の政府や警察への対応手続きをまとめたドキュメントにAirTagに関する記載を追加する予定であることも発表しています。
AirTagと「探す」への追加予定機能
Appleは、AirTagと「探す」ネットワークに以下の機能を追加予定であると発表しています。
- AirTag設定中のプライバシーに関する警告：今後のソフトウェアアップデートで、AirTagを初めて設定するユーザーにAirTagは持ち物を追跡するための製品であること、同意なく人の追跡に使うことは世界の多くの地域で犯罪になること、追跡された人はAirTagを見つけることができ、警察はAirTagの所有者を特定できることを表示します。
- AirPodsの警告を修正：AirPods（第3世代）、AirPods Pro、AirPods Maxやサードパーティーの「探す」ネットワーク対応製品を持っていると「不明なアクセサリーが検出されました」と表示される問題が修正されます。
- サポート文書の更新：AppleのWebサイトで公開されているサポート文書「AirTag や『探す』ネットワーク対応アクセサリを所持しているという通知が表示された場合の対処法」を更新し、AirTagや「探す」アクセサリーを見つけた時に取るべき行動、役に立つ情報をまとめて公開しています。このサポート文書は日本語でも公開されています。
今後のアップデート計画も公開
Appleは、今年後半に計画しているソフトウェアアップデートについても発表しています。
- 正確な位置情報の確認：意図せず追跡された被害者が、不明なAirTagの正確な位置を探せるようになります。この機能は、U1チップを搭載したiPhone11、iPhone12、iPhone13の各シリーズが対応します。
- サウンド再生と画面表示：所有者から離れたAirTagがサウンドを再生するのと同時に、iPhone、iPad、iPod touchの画面に警告が表示されるようになります。これによって、AirTagのサウンドが聞き取りにくい状況やAirTagのスピーカーが無効化された場合でも追跡に気付きやすくなります。
- 警告方法の見直し：意図しない追跡の検知ロジックを見直し、より早い段階で、不明なAirTagが一緒に移動していることを警告します。
- AirTagのサウンドの調整：AirTagが見つけやすいよう、現在よりも大きく聞こえるサウンドに音質の見直しが行われます。
Androidユーザーの保護強化にも期待、と米メディア
Appleの発表について米メディア9to5Macは、AppleはAndroidデバイス向けに「Tracker Detect」アプリを提供しているものの、ユーザーが自発的にアプリを起動して確認する必要があることを指摘しています。
同メディアは、AppleとGoogleがプラットフォームを超えた連携によってAndroidユーザーへの保護も強化されることに期待したい、とコメントしています。
なお、アメリカではAirTagなどを使用したストーキング行為を犯罪とする法案がペンシルバニア州の議会に提出されています。
Source:Apple (1), (2), 9to5Mac
Photo:Apple
(hato)