Appleが音楽をオンライン販売するiTunes Music Storeを発表した当時、Microsoftの創業者ビル・ゲイツ氏が役員に対し、スティーブ・ジョブズ氏の才覚を讃えつつ、自社サービスへの危機感を語っていたことが分かりました。
iTunes Music Store発表の2日後、役員にメール
Appleは現地時間2003年4月28日、iTunes Music Storeを発表しました。インターネットから音楽を1曲単位で、手頃な価格で購入できるサービスは、音楽ファンから高く評価され、iPodの人気をさらに高めることとなりました。
Microsoftの共同創業者ビル・ゲイツ氏は、iTunes Music Store発表の2日後に同社役員に送ったメールで、Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏を称賛しつつ、音楽業界には懐疑的な見方をしています。
スティーブ・ジョブズ氏の、重要なことに集中し、ユーザーインターフェース(UI)を正しく作り出せる人材を確保し、革命的なものとして市場に投入する能力は素晴らしい。
彼は、その才能を活かして音楽業界で誰よりも良いライセンス契約条件を獲得した。
これは非常に奇妙としかいいようがない。音楽業界は独自の運営方法によってユーザーに不親切なサービスを提供し、ユーザーからも不親切だと思われてきたからだ。
なぜか音楽業界はAppleに対し、素晴らしいサービスを提供する能力を与える決心をしたようだ。
ゲイツ氏、音楽配信への参入検討を指示
裁判の資料として提出されたゲイツ氏のメールには、Microsoftが音楽配信ビジネスに参入する計画についても記されています。
ジョブズ氏が実行してしまったからには、同じくらい優れたUIと権利を得るために急いで行動する必要がある。
これを共同事業(JV)で行うべきなのかどうか、わからない。問題点がはっきりしていないためだ。
ジョブズ氏が再び驚くような行動に出たとしても、迅速に行動し、対抗、あるいはそれ以上のものを提供できるよう、計画を立てるべきだろう。
Bill Gates on iTunes Music Store
April 30, 2003 pic.twitter.com/f1zspcHcwL
— Internal Tech Emails (@TechEmails) July 9, 2021
MSNの音楽配信は2004年に開始するも2008年に終了
Microsoftは2004年にMSN Musicを開始していますが、2008年にサービスを終了しています。
一方、Appleは2015年に音楽ストリーミングサービスApple Musicの提供を開始し、2021年6月に高音質のロスレス、ハイレゾロスレス、立体音響の空間オーディオを追加料金なしで利用可能にしています。
認め合うライバルだったジョブズ氏とゲイツ氏
スティーブ・ジョブズ氏とビル・ゲイツ氏はビジネス上の競争相手であると同時に、お互いを認め、尊敬する良きライバル関係であったことが知られています。
ゲイツ氏は、ジョブズ氏が周囲の人を鼓舞する魅力を「魔法使い」と形容し、自分にはないその魅力が「とても羨ましかった」と当時の思いを吐露しています。
そんな両者の関係をブロードウェイミュージカルにする計画もありましたが、残念ながら上演されることはありませんでした。
Source:Internal Tech Emails(@TechEmails)/Twitter via 9to5Mac, AppleInsider
Photo:David Geller/flickr
(hato)