著名な元Appleデザイナー、スマホ中毒とAppleの関連について語る

スクリーンタイム apple
 
Appleが2018年に開催したWWDCでは、新機能「スクリーンタイム」のiOS12への搭載が発表されました。スクリーンタイムとは、iPhoneなどのiOSデバイスをどの程度使用しているかを示してくれる機能で、何をどれだけ利用しているかのグラフ表示や、アプリの使用時間制限などが可能となっています。こうした試みは、“スマートフォン中毒”に対し、Appleが正面から対策に取り組んだとして好意的に受け止められました。しかし、iPhoneが発売されたのは2007年です。なぜ今頃になってAppleが言及し始めたのでしょうか。

初期の段階から問題に気づいていた?

AppleはiPhoneをデザインする段階からスマートフォン依存について気にかけていた、と語るのはデザイナーのイムラン・チョウドリ氏です。同氏は2017年にAppleを離れるまで、iPhoneを始めとした、様々なiOSデバイスのインターフェイスデザインに関わってきました。
 

 
「私たちはスクリーンを見つめている時間を制限できるようなアイデアについて話し合った。そして気づいたんだ。これは長年問題になることだとね。App Storeエコノミーによって実装は阻まれたが」 チョウドリ氏のいう“App Storeエコノミー”とは、ストアでなるべく多くのアプリをユーザーにダウンロードしてもらうことで利益を上げる仕組みです。
 
登壇したイベントで、チョウドリ氏は対策を採るのが「遅すぎた」と述べ、子どもを始めとしたユーザーがiPhoneやiPadに時間を使いすぎていることについてもっと気にかけるべきだった、と後悔をにじませました。
 
もちろん、スマートフォン中毒を起こす要因はiPhoneだけではありません。同じくイベントに出席した、マーケティング専門のスコット・ギャロウェイ教授も「Twitterは私にとっての喫煙だ」と述べ、青少年に大きな影響を与えている現状をAppleに限らずテクノロジー業界は直視すべきだ、と警鐘を鳴らしました。

背景にはAppleへの提言急増が関係か

彼らの話をまとめると、Appleは当初から問題を把握していたにもかかわらず、経済的理由から長らく言及しなかったということになります。となると、一体何がAppleにスクリーンタイムの導入を決定させたのでしょうか。
 
一つ言えるのは、2018年に入ってスマートフォン中毒についてAppleが何らかの対応をすべきだ、という声が、WWDC前後で複数上がっていたことです。18年1月には同社の大株主が「若年層によるスマホ中毒が引き起こす影響の研究」と「保護者が子供のiPhoneに制限をかけられるようにすべきだ」と要求したほか、3月にはスタンフォード大学生がデモ、4月には「iPodの父」と呼ばれるトニー・ファデル氏が「Appleは責任を持って、使い方のガイダンスを構築すべきだ」と述べていました。
 
幸いにもiOSでは現在、設定画面からスクリーンタイムを利用できます。また、macOSでも同様の機能が採用されるのではないか、とする観測も出ています。
 
 
Source:Fast Company,Patently Apple
Photo:Flickr-Rajat Bhardwaj
(kihachi)

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