AppleサプライヤーのFoxconn、Apple依存からの抜け道を模索中?


 
iPhoneの組み立て企業として知られる台湾のFoxconnは、収益の約半分をAppleに依存していますが、株価が昨年末から20%近く下がっており、新しいビジネスモデルを模索しているようです。

様々な事業に手を出すFoxconn

6日から3日間にわたって創業30周年の記念行事を催しているFoxconnは、すでに他企業の製品の組み立て以外のビジネスにも従事しています。
 
シャープを買収したことにより、ディスプレイ生産で国際的に重要な位置を占めたほか、自動運転車技術のスタートアップや、がん研究への投資といった、広範囲の事業を手がけています。
 
しかしながら株価が下がり続けている時価総額510億ドル(約5.61兆円)のFoxconnは今、新たな成長戦略を探しています。
 
今週発表されたシャープによる東芝のPC事業の買収は、独自ブランドの製品開発という一つの戦略を表しています。
 
ハードウェアとソフトウェアサービスの両方を含む、クラウドコンピューティングなどの総合的なソリューションを提供するのは難しいと、Foxconnの会長テリー・ゴウ氏の特別補佐官のルイス・ウー氏は語ります。
 
「顧客のためにデータセンターは建設したが、データセンターサービスを提供できるとは知られていない」とウー氏は続けます。「将来的には現在分散している事業を集約し、ビジネス顧客に技術サービスを提供したい」と、同氏は未来の展望を述べました。
 
またこれまでの経験を活かして、自動化された工場を他の企業に販売するなどの”スマート生産”サービスも提供できるとFoxconnは考えているようです。
 
これらの新戦略はすぐに実現できるものではありません。契約生産が中心のFoxconnが新しいモデルに切り替えるのは並大抵のことではないはずです。
 
「(様々なジャンルのことを進めるのに)リスクは必ずあるが、Foxconnにとって次の成長機会を探るのは重要なことだ」とTrendforceのアナリスト、ボイス・ファン氏はコメントしています。

ヘルスケア事業の可能性

Foxconn会長のゴウ氏は30周年記念行事のステージ上で、ヘルスケア事業の大きな可能性について述べました。
 
シャープの持つ8Kの高解像度の画像・ディスプレイ技術は、すでに内視鏡などの医療画像デバイスに適用されています。
 
ゴウ氏は、診断装置としてのスマートトイレについても触れたとされています。補佐官のウー氏によれば、センサーで取得したデータを分析のためクラウドに転送できるとのことです。Foxconnは次世代通信規格5G技術を活かすことができます。

独自ブランドを打ち出すのは難しい

独自ブランドを打ち出すには高度なマーケティングが求められるため、すでに確立されているブランドを獲得するのが無難だと、Trendforceのファン氏は分析しています。Foxconnは今年始めにコンピュータアクセサリの製造で知られる米メーカーのBelkinを買収したばかりです。
 
しかしながらFoxconnのウー氏は、現在の顧客の利益と相反することなく進める方向を模索していると話しており、ファン氏は急進的な動きは起こさないであろうと予測しています。
 
「Foxconnは契約事業をさらに推し進めつつ、新しい領域の事業を統合していくだろう」
 
 
Source:Reuters
Photo:Wikimedia Commons
(lexi)

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