減額のはずなのに!Apple、iPhoneのバッテリー交換希望者に3万円以上請求

iPhone6s Plus iFIxit


 
Appleは現在、iPhoneの劣化したバッテリー交換料金を減額しています。しかし、バッテリー交換を希望するユーザーが、「本体の傷や内部に問題がある」とされて3万円以上の修理料金を請求されるケースがある、と英BBCが報じています。

バッテリー交換料金を減額中のApple

2017年末、バッテリーが古くなったiPhoneが突然シャットダウンするのを防ぐ目的で、iPhoneの動作速度が抑制されていたことが明らかになりました。
 
Appleは、ユーザーに正しく情報を開示しなかったことを詫び、「お客様の懸念に対応し、お客様によるご愛用に感謝すると同時に、Appleの意図に疑問を抱いたすべての方の信頼を取り戻すため」として、iPhone6以降のバッテリー交換料金を通常の8,800円から3,200円に減額して対応することを発表しました。
 

 
しかし、Appleは減額したバッテリー交換料金の10倍に当たる修理料金を要求している、と英BBCの消費者問題番組「BBC Watchdog」が指摘しています。

「バッテリー交換の前に、小さな凹みの修理に3万円必要」

ジョシュ・ランズバーグ氏は、バッテリーを交換してもらうためにiPhoneをAppleに送りました。すると、2日後にAppleからメールが届きました。
 
メールには、「iPhoneの端に小さな凹みがある。バッテリーを交換する前に修理が必要だ。修理には200ポンド(約3万円)かかる」と書かれていました。
 

ジョシュ・ランズバーグ氏のiPhone


 
怒ったランズバーグ氏は、AppleにiPhoneを返送させ、近所の修理ショップに持ち込んでバッテリーを交換してもらいました。彼は、Appleの保証を捨てたことになります。

彼らは、信頼を取り戻そうとしているはずなのに「あなたが考えていたよりも多くのお金を寄越しなさい」と言ってくるのです。Appleは、たくさんのお金を持っているのに。

正常に動作しているiPhoneは「内側に損傷、修理は3.7万円」

デビット・ボウラー氏のiPhoneは、外観には傷もなく、完璧な状態でしたが、バッテリー交換が必要になりました。Appleは、彼のiPhoneの内部に損傷がある、と伝えてきました。
 
Appleはボウラー氏に、「フロントマイクとスピーカーに問題があるので、修理には250ポンド(約37,000円)が必要だ」と伝えてきました。
 
iPhoneの状態は完璧だ、と確信していたボウラー氏は、AppleにiPhoneを返送させました。BBC Watchdogは、ボウラー氏のiPhoneを修理の専門家の元へ持ち込みました。
 
ボウラー氏のiPhoneを見た専門家は「確かにどの部品も正常だ。問題があるとは言えない」と指摘し、Appleがバッテリー交換の前に必要だと主張したマイクとスピーカーはそのまま残してバッテリーを難なく交換しました。

Apple「バッテリー交換の前にすべての損傷の修理が必要」

AppleのサポートWebページ「iPhone の修理 – バッテリーと電源」には、以下の記述があります。
 

画面のひび割れなど、バッテリー交換に支障をきたす損傷がある場合は、そちらを先に修理する必要があります (場合によっては別途修理料金がかかることがあります)。

 
BBC Watchdogがチャットで連絡した、Appleの複数のカスタマーサービス担当者には、保証書に「すべての損傷はバッテリー交換の前に修理しなくてはならない」と書かれている、と主張しました。
 
しかし、番組も紛争解決専門の弁護士も、その条項を見つけることはできませんでした。
 
弁護士は「Appleは信頼を取り戻さなくてはならない時に、顧客の修理に障害を設けているように見えます。消費者は腹を立てますよ」と語っています。

iOS11.3ではバッテリー劣化状態のチェックが可能に

3月末に公開されたiOS11.3では、設定アプリからバッテリーの劣化状態を簡単に確認できるようになりました
 

 
バッテリーの最大容量が新品時の80%を下回ると、バッテリーの交換を促すメッセージが表示されます。
 
なおAppleは、iPhone X、iPhone8/8 Plusでは、進化したバッテリー管理の方法を採用しているため、バッテリー劣化による影響を受けにくい、と説明しています。

 
 
Source:BBC
Photo:iFixit, Apple (1), (2)
(hato)

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