CES 2018では、サンズ・コンベンション・センター内に、新興企業やスタートアップを集めた「Eureka Park」が設置され、ユニークなアイディア製品や今後が期待される新技術が紹介されていました。
なかでも筆者が気になった、面白い技術を2つご紹介します。どちらも開発したのはイスラエルの企業です。
物理的なヘッドフォン不要の「バーチャルヘッドフォン」
Noveto Systemsが会場で実演していたバーチャルヘッドフォン「Sowlo」とは、3Dセンサーによってユーザーの耳の位置を認識、音響機器からのオーディオ信号を処理してオーディオビームとし、ユーザーの耳に直接届けるというものです。
センサーは絶えずユーザーの耳の位置を捉えているため、顔を動かしても音は聞こえ続けます。またユーザー以外の周囲の人には一切その音は聞こえません。
現在はまだプロトタイプの段階ですが、家の中での利用のほか、車載向けを検討しているとのことです。
ヘッドセット不要、スマホだけでMR体験
2Sensが開発、提供を目指しているのは、ヘッドセットを必要としない、スマートフォンのみでの複合現実(Mixed Reality、MR)です。
MRとは、Microsoftによれば「現実とデジタル世界を複合したもの」で、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)もこれに含まれます。簡単にいうなら、現実世界に近いのがAR、デジタルの世界に近いのがVRで、MRというのはARとVR、そしてその中間にあるものすべてを包含するというわけです。
2SensはCES会場で、独自開発のソフトウェアを搭載したスマートフォンに、小さなカメラを取り付けるだけで、現実世界にCGを加えた画像をスマホの画面上に表示する実演を行なっていました。
2Sensの小型カメラ
これだけなら「ポケモンGO」などのARゲームと大差ありません。しかし2SensのMRでは、CGのキャラクターを、目の前にある本の後ろ側に隠したり、ほんの少しだけ頭を覗かせたりすることができるのです。また、椅子の上から床へとキャラクターを移動させると、スマホから離れた距離の分だけキャラクターが小さく、つまり遠ざかったように見えます。
現実世界にCGキャラクターを追加
CGキャラクターがパンフレットの後ろに隠れ、頭だけが見えている
ちなみに2Sensは2016年創業の新興企業で、2016年12月にはSamsung系の投資会社SamsungNEXT Venturesが同社に出資することを発表しています。
(lunatic)