プライバシー保護に役立つトラッカーブロッカーとして知られる「Privacy Badger」が、macOSのSafariでも利用可能となりました。これにより、Safariユーザーも同ブロッカーによるトラッキング対策の恩恵を受けられるようになります。Safariにはもともと追跡防止機能が搭載されていますが、Privacy Badgerを追加することで何が変わるのでしょうか。
ブラウジングの三種の神器の一つがついにSafariにも!
米電子フロンティア財団(EFF)は現地時間10月19日、ブラウザ拡張機能のPrivacy BadgerがmacOSのSafariでも利用できるようになったと発表しました。
Privacy Badgerは、Webサイトに埋め込まれたトラッカーを検出し、ユーザーの閲覧行動が追跡されるのを防ぐ拡張機能です。
プライバシー保護を重視するユーザーから広く支持されており、筆者もブラウジングに欠かせない「三種の神器」の一つと認識しています。
Privacy BadgerはこれまでFirefoxやChromeなどのブラウザでは利用できましたが、Safariには対応していませんでした。
今回の対応により、主要なデスクトップブラウザすべてでPrivacy Badgerが利用可能となりました。なお、利用にはSafari 26.5以降が必要です。
Safari標準の追跡防止機能だけでは不十分?
Safariにはもともと、Webサイトを横断したトラッキングを制限する「インテリジェントトラッキング防止機能(ITP)」が搭載されています。
ITPは、ユーザーの閲覧履歴などをもとにした追跡を防ぐため、トラッカーが取得できる情報を制限する仕組みです。
しかし、Safariの標準設定では、トラッカーによる情報収集を制限しても、トラッカーそのものの読み込みは許可される場合があります。
これに対してPrivacy Badgerは、トラッカーの読み込み自体をブロックすることで、追跡を防止します。
つまり、Safariの標準機能とPrivacy Badgerは、同じプライバシー保護を目的としていても、対策の仕組みが異なるというわけです。
Safariの標準機能だけでも一定の保護効果は期待できますが、Privacy Badgerを併用することで、さらに幅広いトラッキング対策が可能となります。
広告ブロッカーとは異なるPrivacy Badgerの役割
Privacy Badgerは広告ブロッカーと混同されることがありますが、基本的には広告そのものを非表示にするためのツールではありません。
Privacy Badgerがブロックするのは、ユーザーを追跡するトラッカーです。広告がトラッキングに利用されていればブロックの対象となりますが、追跡を行わない広告まで一律に排除するわけではありません。
また、Privacy Badgerはトラッキングの挙動を分析してブロック対象を学習する仕組みを備えており、既存のブロックリストだけでは対応できないトラッカーにも対処できます。
このため、広告ブロッカーとPrivacy Badgerを併用することにも意味があります。ただし、機能が重複する部分もあるため、必ずしも両方の導入が必要というわけではありません。
EFFはHTTPS Everywhereも開発
EFFは、ブラウジングの三種の神器の一つだったブラウザ拡張機能「HTTPS Everywhere」の開発に携わっていたことでも知られています。
HTTPS Everywhereは、Webサイトへの接続を可能な限り暗号化されたHTTPSに切り替える拡張機能でした。
その後、多くのブラウザにHTTPS接続を優先する機能が標準搭載されたことで、HTTPS Everywhereは拡張機能としての役割を終えました。
最初は拡張機能として提供されていたものが、やがてブラウザの標準機能となるのは、技術の進歩を感じさせる事例だと言えるのではないでしょうか。
Privacy Badgerについても、将来的には同様のことが起こるかもしれません。
もっとも、HTTPS Everywhereが通信の暗号化という比較的明確な機能を提供していたのに対し、トラッキングにはさまざまな手法が存在します。
トラッキングの手法が変化し続ける限り、Privacy Badgerのように追跡手法を分析し、対策を更新するツールには引き続き需要があると考えられます。
SafariのuBlock OriginはLiteのみ
ブラウジングの三種の神器の最後の一つが、広告ブロッカーの「uBlock Origin」です。
uBlock Originに関しては、SafariではLiteバージョンのみが利用可能となっており、フルバージョンを利用するにはFirefoxなどの他のブラウザを使用する必要があります。
uBlock OriginもPrivacy Badgerと同じくオープンソースの無料ソフトウェアですが、開発しているのはEFFではなく、レイモンド・ヒル(Raymond Hill)氏です。
uBlock Origin Liteは広告やトラッカーをブロックするためのフィルターリストを利用する一方、Privacy Badgerはトラッキングの挙動を分析する仕組みを備えています。
両者には機能の重複もありますが、Privacy BadgerがSafariに対応したことで、ユーザーがプライバシー保護の方法を選択する余地が広がったことは確かです。
iPhone版Safariへの対応にも期待
今回Privacy Badgerが対応したのはmacOS版Safariであり、iPhoneやiPadのSafariではまだ利用できません。
EFFは、macOS版で発生する問題を解決した後、iOS版Safariへの対応も検討する方針を明らかにしています。
iPhoneにはSafari以外のブラウザも存在しますが、iOS版のPrivacy Badgerが登場すれば、MacとiPhoneの両方で同じトラッキング対策を利用できるようになります。
Safariの拡張機能は長年、FirefoxやChromeなどと比べて選択肢が限られていましたが、uBlock Origin Liteに続いてPrivacy Badgerも利用可能となりました。
筆者がブラウジングの三種の神器と考えるツールのうち、現在も提供されている2つがSafariで利用できるようになったことは、プライバシーを重視するMacユーザーにとって歓迎すべき進展と言えそうです。
Photo: EFF
