iPhone18 Pro Maxの1TBモデルで、極端な負荷をかけた際に内蔵ストレージの書き込み速度が大幅に低下することが実機テストで判明しました。ストレージを約60%使用した状態から大量のデータを連続して書き込むテストでは、最低1.1MB/sを記録しています。ただし、キャッシュを使い切るほどの特殊な条件での結果であり、一般的な利用で同様の速度低下が起こる可能性は低いとみられます。
iPhone18 Pro/Pro Maxは4種類の容量、NANDも異なる?
iPhone18 ProとiPhone18 Pro Maxには、256GB、512GB、1TB、2TBの4種類のストレージ容量が用意されています。
7月には、256GBと512GBにTLC NAND、1TBと2TBにQLC NANDを採用するとの情報が伝えられていました。ただし、これはAppleが公式発表した仕様ではありません。
今回、HOMOLABがiPhone18 Pro Maxの1TBモデルと512GBのTLC搭載モデルを実機で比較しました。テストした個体では、1TBモデルにQLC NAND、512GBモデルにTLC NANDが搭載されていることが確認されています。
TLC(Triple-Level Cell)は1つのメモリセルに3ビット、QLC(Quad-Level Cell)は4ビットのデータを記録するNAND型フラッシュメモリです。
QLCはより高密度にデータを保存でき、大容量化に向いている一方、一般的にはTLCより書き込み速度や書き換え耐久性で不利とされています。
1TBのQLCモデル、混合読み書きテストで低い結果
HOMOLABによる4K READのテスト値は、1TBのQLCモデルが46,045、512GBのTLCモデルが51,282でした。
読み出しと書き込みを組み合わせるMIXテストでも、Q1T1では8,168対11,285、Q4T4では32,219対35,992となり、いずれもTLCモデルが上回っています。
4K READは4KB単位のランダム読み出し性能を測定するテストです。MIXは読み出しと書き込みを組み合わせた負荷をかけます。
Q1T1は「Queue Depth 1/Thread Count 1」、つまりキュー深度1、スレッド数1で処理する条件で、同時処理の少ない状態での性能を見る指標です。
特にQ1T1 MIXでは、両モデルの差が大きくなっています。
ただし、比較した2台はストレージ容量などの条件も異なるため、この性能差のすべてがTLCとQLCの違いだけによるものとは断定できません。
キャッシュを使い切ると書き込み速度が大幅低下
NANDフラッシュを使ったストレージでは、大量のデータを書き込む際、一部の領域を高速なキャッシュとして利用する仕組みがあります。
今回の1TBモデルでは、まずNANDの一部をSLC(Single-Level Cell)相当で動作させる高速なキャッシュ領域にデータを書き込みます。SLCキャッシュは、「データを一時的に受け止める高速な置き場」と考えると分かりやすいでしょう。
SLCキャッシュを使い切ると、次にpTLC(pseudo-TLC、疑似TLC)領域を利用します。これはQLC NANDをTLCに近い方式で動作させ、QLC本体へ直接書き込むより高速に処理するための領域です。
それも使い切ると、QLC NANDへの直接的な書き込みに移行します。
HOMOLABのテストでは、空き容量が十分な状態ではSLCキャッシュとして約250GBを利用できましたが、ストレージを60%使用した状態では約58GBまで減少しました。
この状態では、pTLC領域での書き込み速度が平均396MB/s、QLCへの書き込みが平均45MB/sとなり、最低1.142MB/sを記録しています。
SLCキャッシュが機能している間は3,000MB/sを超えていた書き込み速度が、キャッシュを使い切った後には大幅に低下したことになります。
ただし、この結果は「ストレージを60%使うと書き込み速度が1.1MB/sになる」という意味ではありません。約60%使用した状態からさらに大量のデータを連続して書き込み、SLCキャッシュやpTLC領域を使い切った先で記録された最低値です。
空き容量が減ると書き込み性能が低下すること自体は珍しくない
空き容量の減少によって持続的な書き込み性能が低下すること自体は、NANDフラッシュを使ったストレージでは珍しい現象ではありません。
動的にキャッシュ領域を確保する仕組みでは、空き容量が減るほどキャッシュとして利用できる領域も小さくなり、大量のデータを長時間書き込んだ際に性能が低下しやすくなります。
Kingstonも、SSDのオーバープロビジョニング、つまりコントローラが作業用に確保する予備領域が、書き込み性能の維持に影響すると説明しています。
通常利用で1.1MB/sまで低下する可能性は低い
今回の結果は、あくまで大量のデータを連続して書き込み続ける極端な条件で記録されたものです。
通常のWeb閲覧、メッセージ、ゲーム、写真撮影などでは、高速なキャッシュが短時間の書き込みを吸収するため、このような大幅な速度低下を体感する可能性は低いと考えられます。
影響が出る可能性があるのは、長時間の4K ProRes動画撮影、大容量ファイルの転送、バックアップからの復元など、大量のデータを書き続ける場面です。
iPhone18 Proシリーズでは、ストレージ容量によってTLCとQLCの採用が異なるとの情報が以前から出ていました。今回の実機テストでは、少なくともHOMOLABがテストした512GBのTLC搭載個体と1TBのQLC搭載個体で、混合読み書き性能や長時間の書き込み性能に差が確認されました。
Source: HOMOLAB/Bilibili, AppleInsider, Notebookcheck, Kingston
