Appleは先日、M6とM5 Proを搭載する新型Mac miniを発表しました。M6はTSMCの2nmプロセスで製造される、Apple初のチップとして登場しています。
これまでは、iPhone18 Proシリーズと折りたたみiPhoneに搭載されるA20 Proが、Apple初の2nmチップになると噂されていました。
M6がA20 Proより先に投入された背景には、両チップの生産数量の違いがあるとの見方がサプライチェーン関連情報として伝えられています。
Apple初の2nmはA20 Proと噂も
Appleはこれまで、TSMCの最新プロセスをまずiPhone向けAシリーズに採用する例がありました。3nm世代では、iPhone15 Proシリーズ向けA17 ProがApple製品として最初にTSMCの3nmプロセスを採用しています。
そのため、3nmから2nmへ移行する際も同様の流れとなり、A20 ProがApple初の2nmチップになるとの予想が有力でした。しかし実際には、それに先駆けてM6が発表されています。
M6とA20 Proの生産数量に違い
A20 ProではなくM6が先に投入された理由として、両チップに求められる生産数量の違いが挙げられています。M6を搭載する新型Mac miniと比べ、A20 Proを搭載するiPhone18 Proシリーズと折りたたみiPhoneは、はるかに多い台数の出荷が見込まれます。
新しい2nmプロセスの量産初期に歩留まり率(良品率)が想定を下回った場合、必要なチップ数を確保できず、搭載製品の生産計画に影響することになります。必要数量が多いA20 Proほど、歩留まり率の影響を受けやすいことになります。
M6で先行して量産工程の検証が可能に
こうしたリスクを考慮し、必要数量が比較的少ないM6を先に量産することで、TSMCの2nmプロセスにおける製造工程を検証した可能性があります。
M6の量産を通じて歩留まり率を確認し、必要に応じて工程を調整した後、より多くの数量が必要となるA20 Proの本格量産へ移行したという見方です。TSMCにとって2nmは新しい量産プロセスであるため、立ち上げ初期には製造条件の最適化や歩留まり率の向上が重要になります。
M6を先行投入することで、A20 Proの大量生産を開始する前に量産実績を積めるという利点があります。
3nm世代でも量産立ち上げが重要に
Appleが初めて3nmプロセスを採用したA17 Proでは、TSMCの第1世代3nmプロセスであるN3の歩留まり率が想定よりもかなり低く、改良型のN3Bが使用されました。
最新の微細化プロセスでは、量産開始直後から高い歩留まり率を確保することが難しく、製造コストや供給数量への影響が大きくなります。
その経験も踏まえ、2nm世代では比較的生産数量の少ないM6から量産を始め、A20 Proの大量生産に備えた可能性も考えられます。
A20 Proの供給不足回避にも効果
今回の情報が正しければ、M6の量産を通じて2nmプロセスの歩留まり率を十分に高めたうえで、A20 Proの本格生産に移行したことになります。
その場合、A20 Proそのものの生産数量不足によって、iPhone18 Proシリーズや折りたたみiPhoneの供給が大幅に制限されるリスクは低下します。
もっとも、A20 ProにはDRAMを横方向に配置するWMCM(Wafer-level Multi-Chip Module)が採用されると噂されており、DRAM不足やパッケージ工程も供給量を左右する要素になります。
折りたたみiPhoneの遅れはヒンジか
折りたたみiPhoneについては、iPhone18 Proシリーズより量産開始時期が遅れたとの情報があります。
A20 Proと折りたたみ有機EL(OLED)ディスプレイの量産が順調に進んでいたのであれば、量産立ち上げの遅れにはヒンジなど別の部品が影響した可能性があります。
Photo: Apple Hub/Facebook
