国内MVNOの契約数は2025年3月末時点で1,363.5万回線に達し、IoT需要や個人向け販売の拡大で前年比4.1%増だった、とMM総研が発表しました。シェアトップは「IIJmio」を提供するIIJで、mineoやOCNモバイルONEが続きます。新規参入や各社のデータ増量や値下げキャンペーンもあり、MVNO市場は活性化しています。今後はIoT用途が拡大を続け、MVNO市場の拡大を牽引するとみられます。
国内MVNO回線契約数は1,363.5万回線、前年同期比4.1%増
MM総研が発表した「国内MVNO市場調査」(2025年3月末時点)によると、2025年3月末時点での国内MVNOによる独自サービス型SIM(MVNOがSIMカードを用いて独自の料金プランで提供する回線サービス)の回線契約数は1,363.5万回線で、前年同期比4.1%の増加となりました。
契約数増加の要因としてMM総研は、IoT向け用途や対面販売を重視する個人向けの伸びによるもの、と分析しています。
携帯電話全体のMVNOのシェアは6.0%、横ばい続く
2025年3月末時点の携帯電話契約数は2億2,575万回線で、MVNOのシェアは6.0%と、横ばい状態が続いています。
MNOのサブブランド(ソフトバンクのY!mobile、KDDIのUQ mobile)がメインブランドからのユーザーを効率よく獲得し、シェアは全体の10.3%(前年同期比1.0%増)でした。
MNOのオンライン専用プラン(NTTドコモのahamo、KDDIのpovo、ソフトバンクのLINEMO)のシェアは4%強でした。
シェアトップはIIJ、契約数は1年で70万回線増
シェアトップは、「IIJmio」などを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)でした。法人向けIoT用途であるネットワークカメラ、GPSデバイスなどが好調で、回線数を1年間で70万回線以上伸ばしています。
2位は「mineo」などを提供するオプテージ、3位は「OCNモバイルONE」などを提供するNTTドコモ、4位は「J:COM MOBILE」のJCOM、5位は「イオンモバイル」のイオンリテールでした。
異業種の新規参入、既存MVNO大手のデータ増量などで市場活性化
MVNO市場は、前澤友作氏が「利用すると株がもらえるモバイル」として発表して注目を集めたカブアンドのほか、メルカリ、「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナル、日本航空(JAL)などが新規参入し、各社が特徴的なサービスを訴求しています。
既存各社も、IIJmioが「ギガプラン」のデータ容量増量と料金割引キャンペーンを実施、mineoが追加データ無制限プラン拡充や割引キャンペーンを実施するなど競争が活発になり、MVNO市場の活性化につながっています。
MVNO市場は拡大続く、IoT向けの割合が高まると予測
MM総研は、MVNOによる独自サービス型SIM市場は2026年度末時点で1,530万回線へと拡大し、その後も2027年度末には1,740万回線、2028年度末には2,000万回線へと拡大が続くと予測しています。
市場の構成としては、IoT向け海鮮の割合が高まり続け、2028年度末にはIoT向け回線の割合が65.9%に達するとみられます。
ドコモやKDDIの実質値上げを追い風にできるか
MNOのサブブランドやオンライン専用プラントの競合により、MVNOは個人向け市場で厳しい状況にある一方で、法人向けIoT向け回線が好調となっています。
本調査実施時点の2025年3月よりも後に、ドコモやKDDIが料金プラン改定による実質値上げによる収益改善に舵を切っており、MVNOの低価格という競争優位性が際立つこととなります。
MVNO各社は今後、通信品質やサポート、端末ラインアップなどの付加価値を提供できるかどうかが市場拡大の鍵を握ることとなります。
Source: MM総研