「arrows」「らくらくホン」のFCNTが破綻〜残る国内勢はシャープとソニーのみ

FCNT らくらくスマートフォン
 
日本国内のスマートフォン出荷台数ランキングで3位につけている、「らくらくホン」や「arrows」のメーカーFCNTが30日、経営破綻し民事再生法の適用手続きを申請しました。

arrowsの新作が出たばかりだが

FCNTの負債総額は約1,300億円で、破綻規模としては国内最大級となります。スマートフォン販売の競争激化に加え、円安による部品の輸入コスト値上がりが倒産のきっかけとなりました。
 
FCNTは「富士通コネクテッドテクノロジーズ」の略称で、元々は富士通のスマートフォン事業が2018年に切り離される形で生まれた企業です。
 
富士通の看板である「arrows」ブランドを引き継いだほか、通常のスマートフォンを使いこなせない高齢者をターゲットにしたガラホ「らくらくホン」、操作の簡単な「らくらくスマートフォン」などで、国内では確かな存在感を示してきました。2023年2月にもarrowsの新作「arrows N」が、NTTドコモから登場したばかりです。
 
FCNTの端末を扱ってきたNTTドコモは「端末の利用者向けのアフターサポート体制を整え、販売を継続していく」と述べているものの、スマートフォンの修理やアフターサービス事業は一旦停止となる見込みで、そう早くないうちにスマートフォン市場から姿を消すことになりそうです。

国内ではAppleが約半数のシェア

まったく存在感のないスマートフォン企業ならいざ知らず、FCNTは国内の出荷台数ランキングで3位(10.3%)であり、Apple(48.4%)とシャープ(11.1%)に次ぐシェアを誇っていただけに、国内メーカーが置かれた厳しい状況が改めて浮かび上がった格好です。
 

 
個人向けのスマートフォン市場(携帯市場)からは、すでに三菱電機、パナソニック、NECが撤退済で、2023年に入ってからはバルミューダと京セラが撤退を決定しています。今回、新たにFCNTの経営母体である富士通が姿を消したことで、残る国内大手メーカーはシャープとソニーのみとなりました。
 
かつては日本独自の規格を持つ携帯が市場を席巻していたことから、“ガラケー”(「ガラパゴス諸島に生息する動物のように独自の進化を遂げた携帯」)なる言葉も流行りましたが、現在ではAppleがシェアの約半数を占めているように、当時勢いがあった国内メーカーには見る影もありません。
 
 
Source:日本経済新聞,IDC
(kihachi)

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