EUの新規制法案、App Storeでの公式アプリ推奨に影響か

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AppleやGoogleなどの巨大テック企業への締め付けを強める欧州連合(EU)が、独占禁止法(反トラスト法)の観点から、プラットフォーム上での公式アプリの推薦方法について策定しているようです。

自社アプリの推奨を問題視

EUが現在取り組んでいるのは、デジタルサービス法(Digital Services Act:DSA)のさらなる調整です。同法は12月2日に公表され、デジタル市場法とともに、巨大テック企業の市場における振る舞いを規定する内容となっています。サービス法では、対象となる企業が規制当局や研究者に対し、アルゴリズムの仕組みや広告アーカイブの開示を行うよう義務付けられています。
 
新たな改変では、コンテンツをどう扱うかを含め、プラットフォーマーがどのようにサービスを提供するかを訓告するルールが盛り込まれる可能性があります。
 
具体的に問題視されているのは、自社アプリの推奨(self-preferencing)です。これは、プラットフォーム上でサードパーティのアプリよりも自分たちのアプリを推奨する行為で、欧州委員会のマルグレーテ・べステアー委員は「権力や強さには責任が伴う。例えば、自分たちのサービスが他のサービスと競合するとき、自分たちを宣伝しないことだ」と、CNBCのインタビューで新規制について示唆しました。
 
べステアー委員によれば、規制はプラットフォームの大きさに関係なく施行される見込みです。

サードパーティーとの力関係に変化

仮に自社アプリの推奨が規制された場合、AppleはApp Storeで公式アプリを優先的に表示することができなくなる可能性があります。また、iOS上でApple Musicを宣伝する行為も、Spotifyなどのサードパーティーとの競争を阻害しかねないため、規制される公算が大きいでしょう(すでにSpotifyはAppleを提訴しています)。
 
また10月の段階では、iOSやAndroidにプレインストールアプリを設けないようにする大胆な草案も登場していました。今回の新法案は順調に行けば12月9日には欧州議会に提出される予定で、その後議会で承認された後、EU諸国で批准するかどうかが決まる見込みです。
 
Appleは「Principles and Practices(原理と取り組み)」と題した声明を発表し、App Storeの目標の一つは「ユーザーが安全に、信頼してアプリを発見しダウンロードできる場所であること」とし、自社アプリの推奨に正当性があることを示唆しているだけに、今後はロビー活動などを通してEUと一層の対立が予想されます。
 
 
Source:CNBC,AppleInsider,Reuters
Photo:Flickr-bobbsled
(kihachi)

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