スマホが発する電波は健康問題の原因にはならない〜科学者らが主張


 
第5世代通信(5G)の導入が始まるのに伴い、以前から繰り返し話題に上ってきた、スマートフォンの発する電波が健康に与える問題に関する論議が再浮上しています。

スマホの電波が人体に有害との証拠は見つかっていない

先日、米日刊紙Chicago Tribuneが、iPhoneを含むスマートフォン11機種の電波を測定、米国で「安全と定められた基準値を超えている」と報告し、話題となりました。
 
しかしこれについて米メディアCNETは複数の科学者や専門家の意見を引用しつつ、これまでに行われてきた数多くの調査や研究から、スマホの電波が人体に有害だという証拠は見つかっていないと指摘しています。

スマホ有害研究結果の多くは内容に問題あり

ニュージーランド・オークランド大学の疫学者であるマーク・エルウッド氏は、スマホが発する電波の影響に関する調査データは膨大な数にのぼるものの、人体に悪影響であるとの結論を導き出している調査研究の多くは、内容に問題があると述べています。
 
科学者らは過去数十年に渡り、スマホが発する電波が人体に及ぼす影響の調査を行ってきましたが、もっとも懸念されるのは「皮膚に与える熱」でした。スマホの電波は非電離放射線であり、遺伝子を傷つけるエネルギーを持っていないためです。
 
エルウッド氏は「健康に有害だとする研究の多くは内容に問題があるが、それでも発表されるのはおもしろいからだ。(有害である)『可能性がある』という言葉が重要なのだ。(中略)一般にこれら研究は、健康に悪影響を及ぼすという直接的な証拠を示せていない」と、スマホ電波有害説に批判的です。
 
だからといって、スマートフォンが発する電波についての規制が不要というわけではなく、今後も調査と研究は行われるべきだとCNETは主張しています。ただし、これまで行われてきた長年の調査・研究では、スマホの電波が人体に有害だという確たる証拠は見つかっていないということは、心に留めておくべきでしょう。

 
 
Source:CNET
Photo:Pixabay
(lunatic)

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