M6とM5 Proを搭載した新型Mac miniは、SSDが基板にはんだ付けされ、購入後に容量を増やせなくなりました。さらに256GBモデルはNANDフラッシュが1チップで、計測では読み書きの速度が512GBモデルの約半分にとどまります。
Appleがうたう「最大2倍高速なストレージ」は2TB構成同士を比べた数値で、最小構成には当てはまりません。Apple公式ストアの価格から容量ごとの差額を試算し、使い方に合わせた選び方をまとめています。
新型Mac miniのSSDは基板にはんだ付け
9月22日に発売された新型Mac miniは、M6搭載モデルとM5 Pro搭載モデルのどちらもSSDを交換できない構造に変わりました。海外メディアの報道によると、発売日に本体を分解したところ、NANDフラッシュが基板に直接はんだ付けされていたといいます。
2024年に発売されたM4とM4 ProのMac miniは、SSDを取り外せるモジュール式でした。M1やM2を搭載した世代もはんだ付けだったため、取り外せたのはM4世代だけです。新型は、M1・M2世代と同じ構造に戻りました。
M4世代向けには、Appleと同じ供給元のNANDを使う互換モジュールが300ドルから販売されています。最小構成を買って載せ替えれば費用を抑えられましたが、販売元は新型には取り付けられないと案内しました。報道された時点で、Appleはこの変更についてコメントしていません。
256GBモデルは速度が512GBの約半分
新型Mac miniの256GBモデルが搭載するNANDフラッシュは、1チップだけです。NANDフラッシュは複数のチップに分けて同時に読み書きするほど速くなるため、256GBモデルの遅さはこの1チップ構成が原因とみられます。
M6・512GBは海外メディアが24GBメモリの構成で計測し、ほかの4モデルは国内メディアが計測しました。Blackmagic Disk Speed Testの結果は次の通りです。
| モデル | 書き込み(MB/s) | 読み込み(MB/s) |
|---|---|---|
| M6・512GB | 6,577.4 | 6,371.5 |
| M6・256GB | 3,000.2 | 3,216.8 |
| M4・256GB | 2,014.5 | 2,792.5 |
| M2・256GB | 1,610.0 | 1,458.9 |
| M1・256GB | 2,150.1 | 2,750.6 |
M6の256GBモデルは、書き込みが3,000.2MB/s、読み込みが3,216.8MB/sでした。512GBモデルの6,577.4MB/sと6,371.5MB/sと比べると、どちらも約半分にとどまっています。計測した機材はメモリの容量も異なり、同じ条件での比較ではない点には注意が必要です。
256GBモデルの遅さは、今回が初めてではありません。2023年のM2搭載Mac miniでも、M1世代で2つあった128GBのチップが256GBのチップ1つに置き換わり、M1世代より速度が落ちたことが話題になりました。
Appleの「最大2倍」は2TB同士の比較
Apple公式サイトは、新型Mac miniの特長として「最大2倍高速なストレージ」を紹介しています。ただし注記によると、比較に使ったのはM6搭載の試作機とM4搭載の量産機で、どちらも32GBメモリと2TBのSSDを積んだ構成でした。
つまり「2倍」は、2TBモデル同士を比べた数値です。256GBモデルの速さを示したものではないため、最小構成を選ぶ場合はそのまま当てはめられません。Appleの表記が誤っているわけではなく、比較した構成が大容量モデル同士だったということです。
先ほどの計測結果から計算すると、M4の256GBモデルと比べたM6の256GBモデルの伸びは、書き込みが約49%、読み込みが約15%にとどまります。M4搭載モデルから最小構成同士で買い替える場合、ストレージの速さが2倍になるとは期待しない方がよいでしょう。
SSDの容量を上げる費用を試算
新型Mac miniは後からSSDを増やせないため、容量は購入時に決める必要があります。Apple公式ストアで、M6搭載モデル(16GBメモリ)の価格を容量別に並べると次の通りです。
| ストレージ | 価格(税込) | 256GBとの差額 |
|---|---|---|
| 256GB | 149,800円 | ― |
| 512GB | 185,800円 | 36,000円 |
| 1TB | 239,800円 | 90,000円 |
| 2TB | 329,800円 | 180,000円 |
256GBから512GBへの差額は36,000円で、容量が倍になるうえ、計測値では読み書きの速度にも約2倍の差があります。1TBでは90,000円、2TBでは180,000円の上乗せが必要で、M6搭載モデルで選べるのは2TBまでです。4TBと8TBは、M5 Pro搭載モデルでしか選べません。
同じ予算で比べると、16GBメモリ・512GBのモデルと、24GBメモリ・256GBのモデルはどちらも185,800円でした。185,800円を出すなら、ストレージとメモリのどちらを増やすかの二択です。
メモリやストレージを増やすと、手元に届くまでの日数も延びます。9月23日午後9時55分の時点で新型Mac miniの納期を確認したところ、16GBメモリ・256GBの最小構成は9月25日に届く予定でした。24GBメモリで512GB以上を選んだ場合のお届け予定日は、10月4日〜10月11日です。
新型Mac miniはどの容量を選ぶべきか
新型Mac miniは購入後にSSDを増やせないため、使い方に合う容量を最初に選ぶことが大切になります。外付けのストレージを使うか、大きなファイルを扱うか、メモリを優先するかで、向いている構成は変わるでしょう。
外付けSSDを使うなら256GBでも足りる
写真や動画を外付けのSSDに保存する使い方なら、256GBモデルでも足りる場合があります。M6搭載モデルの背面にはThunderbolt 4(最大40Gb/s)ポートが3つあり、外付けのストレージをつなぐ端子には困りません。
ただし、内蔵のSSDにはApple Intelligenceのデータも入る点に注意が必要です。M3以降のチップと12GB以上のメモリを積んだMacで次世代のApple Intelligenceを使うには、最大14GBのストレージが必要とされ、この条件には16GBメモリのM6搭載モデルも当てはまります。
Apple Intelligenceを使うなら、256GBのうち最大14GBを確保しておく必要があるということです。macOSのアップデートやアプリの追加で空き容量は減っていくため、残りの容量で足りるかを購入前に見積もっておきましょう。
大きなファイルを扱うなら512GB以上
大きなファイルを内蔵SSDへ保存したりコピーしたりする作業が多いなら、512GB以上のモデルを選ぶのが無難です。計測値では書き込みの速度に約2倍の差があり、こうした作業では待ち時間が短くなる可能性があります。
容量が倍になる512GBモデルとの差額は、36,000円です。読み書きの速さを重視するなら、512GBが構成を選ぶ際の目安になるでしょう。容量が足りなくなってから買い替えるより、最初に36,000円を足しておく方が出費を抑えられる場合もあります。
同じ185,800円で512GBか24GBメモリか
185,800円の予算で選べるのは、16GBメモリ・512GBか24GBメモリ・256GBのどちらかです。ファイルを多く保存するなら512GB、多くのアプリを同時に開いて作業するなら24GBメモリを優先して考えるとよいでしょう。
メモリもSSDと同じく、購入後には増やせません。M4搭載の旧モデルなら後からSSDを載せ替えられるため、中古で探すのも1つの手です。新型Mac miniの最小構成を選ぶかどうかは、数年先の使い方まで見通して決めることをおすすめします。
Photo: Apple
