AIサーバー向けDRAMでは2027年以降、次世代の省電力メモリモジュール規格であるSOCAMM2の採用が本格化すると報じられています。SOCAMM2ではLPDDR5Xが選択される見通しで、従来のDDR5 RDIMMと比べて消費電力と実装面積を抑えながら、大容量化できるのが特徴です。
AIサーバーでもスマートフォンと同系統のLPDDRが大量に使われるようになれば、iPhone向けDRAMとの間で生産能力や供給枠の競合が強まります。Appleは今後、DRAM価格の上昇だけでなく、必要な数量の確保にも苦慮することになりそうです。
1基あたり最大2TBを搭載
AIサーバー向けメモリは、2027年以降にLPDDR5Xを採用したSOCAMM2へ順次移行する見通しです。Micronが発表したSOCAMM2は、1モジュールあたり最大256GBの容量を実現しています。
256GBのモジュールを8枚搭載した構成では、CPUに接続されるLPDDR5Xの総容量が最大2TBに達します。iPhone17 Proに搭載されているとされる12GBのDRAMと比較すると、AIサーバー1基だけで約167台分に相当する容量です。
これはCPUに接続されるLPDDRだけを比較した数字であり、AIアクセラレーターに搭載されるHBMは含まれていません。
ラック全体では数十TB規模に
データセンターのサーバーラックには、複数のCPUやAIアクセラレーターを搭載したサーバーが収容されます。仮に1基あたり2TBのLPDDRを搭載するサーバーを複数収容すれば、ラック全体のメモリ容量は数十TB規模に達することもあります。
こうしたAIサーバーラックが、データセンターごとに数百台から数千台規模で導入されれば、必要となるDRAMの総量は膨大です。Appleは大規模な調達契約によって部品価格と供給量を確保してきましたが、AI事業者との競争が激しくなっていることで、従来と同じ条件でDRAMを調達するのが難しいのが明らかです。
モバイル向けの比率が低下
Trade Whispererが共有した資料には、2030年までのDRAMおよびNANDフラッシュメモリ市場の予測が示されています。2023年には、スマートフォンを含むモバイル機器向けがDRAM需要の約40%を占め、サーバー向けは約30%でした。
予測通りに推移した場合、2026年から2027年にかけてサーバー向けの比率が40%を超える一方、モバイル向けは20%前後まで低下します。これはスマートフォンのDRAM搭載量が減少するという意味ではありません。
AIサーバー向け需要が急拡大することで、DRAM市場全体に占めるモバイル向けの構成比が相対的に低下することを示しています。
NANDもサーバー向けが拡大
ストレージに使用されるNANDフラッシュメモリでも、同様の変化が予測されています。2023年時点ではモバイル機器向けが需要の約40%を占めていましたが、2026年から2027年にかけて20%以下へ低下する可能性があります。
AIデータセンターでは、学習データや生成AIモデル、推論時に使用するデータを保存するため、大容量のエンタープライズSSDが必要です。メモリメーカーが収益性の高いサーバー向け製品を優先すれば、スマートフォン用のNANDフラッシュメモリにも価格上昇や供給制約が波及します。
2030年まで高需要が継続か
Trade Whispererの予測では、サーバー向けメモリの需要拡大は2030年まで続く見通しです。この予測に基づけば、AIサーバーの増設が一段落することで、スマートフォン向けメモリが早期に値下がりするとの期待は持ちにくい状況です。
もっとも、DRAMやNANDフラッシュメモリの価格は、需要だけでなく、メーカーによる設備投資、生産能力、製造プロセスの移行、在庫水準などにも左右されます。2030年まで価格が下がらないと断定することはできませんが、少なくともAIサーバー需要がメモリ価格を押し上げる構造は、当面続くと予想されます。
Source: Trade Whisperer via Wccftec
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