結論から言うと、Write with Siriとは、キーボードから自然な言葉で指示することで、文章の作成や校正、書き換えを行える、Siriに統合された新しい作文支援機能です。iOS27の開発者向け第2ベータ版(beta 2)で、iPhoneの「作文ツール(Writing Tools)」が見当たらなくなり、新しい「Write with Siri」に置き換わったことが確認されました。一見ただの名称変更にも見えますが、その裏にはAppleの明確な戦略がうかがえます。この記事では、何が変わったのかを整理したうえで、なぜAppleがこのタイミングでSiriへの統合を選んだのか、その狙いを考察します。
Write with Siriとは何か
Write with Siriは、Appleが現地時間6月22日に配信したiOS27の第2ベータ(beta 2)で初めて確認された、新しい作文支援機能です。海外メディアによると、iOS18.1から続いてきたWriting Toolsを置き換える形で、iPhoneだけでなくiPadやMacにも同時に導入されました。
主な特徴は次の通りです。
- キーボードの上に「Write with Siri」のボタンが常時表示され、文字を入力する前から呼び出せる機能。
- やりたいことを自然な言葉で伝えると、文章の作成・校正・書き換えに応じる仕様。
- メモ、メール、メッセージなど、標準的な文字入力欄を持つアプリで利用できる点。
- 注意点でもありますが、基本的な処理は端末内で行われ、入力した内容が常にクラウドへ送られるわけではない設計とされるところ。
入力を始めると、ボタンは小さなSiriアイコンに縮小して邪魔にならない形に変わります。「呼び出す機能」から「常にそこにある機能」へと、立ち位置が変わった点が大きな違いです。
旧Writing Toolsとの違いを比較
これまでのWriting Toolsと、新しいWrite with Siriの違いを整理すると、操作の考え方そのものが変わったことが分かります。
| 項目 | Writing Tools | Write with Siri |
| 起動のきっかけ | 文章を選択して 初めて表示される | 入力前からキーボード上に常時表示される |
| 指示の方法 | 「フレンドリー」等の 決まったボタンを選ぶ | やりたいことを自分の言葉で伝える |
| 指示できる幅 | 用意された選択肢の 範囲に限られる | 「丁寧な敬語にして」 「3行にまとめて」など 細かく指定できる |
| 入力中の扱い | 編集したいテキストを 選ぶ操作が前提 | 入力を始めると 小さなSiriアイコンに 縮小して常駐 |
| 機能の位置づけ | 独立した作文ツールの パネル | Siriに統合された 作文支援機能 |
ボタンを探して選ぶ操作から、思ったことをそのまま伝える操作へ。あらかじめ用意された選択肢に縛られず、ユーザーの言葉で指示できるようになった点は、実用面での大きな変化だと感じます。
なぜAppleはWriting Toolsを廃止しSiriに統合したのか
ここで一つの疑問が浮かびます。Writing Toolsはすでに問題なく動いていた機能です。それをわざわざ作り直さず、Siriの名前に統合した狙いはどこにあるのでしょうか。
考えられるのは、AppleがすべてのAI体験を「Siri」という一つの入口にまとめようとしている、という見立てです。文章作成だけでなく、画面の内容を理解する機能や情報検索まで、ユーザーが触れるAI機能をSiri一点に集約すれば、体験が分かりやすくなります。
その意図は、提供のされ方からも読み取れます。今回のベータ版では、iPhone・iPad・Macで同じ機能が同時に提供されました。これは、製品ごとにバラバラな機能を載せるのではなく、「Siri」という共通の層をすべてのOSに通そうとする方針の表れとみられます。WWDC2026で示された、Siriをより深くOS全体に組み込んでいく方向性とも重なります。
年内に提供が予定される、会話型の新しいSiri本体の刷新を見据え、その前段として名前を揃えておく動き、という側面も考えられます。すでに動いていた作文ツールをあえてSiriブランドに寄せておくことで、本格刷新の際に体験を一本化しやすくなるからです。
iOS18からの系譜と日本ユーザーへの影響
Apple Intelligenceの作文ツールは、まず英語圏向けにiOS18.1で導入され、日本語にはiOS18.4で対応しました。当初はあらかじめ用意された選択肢から選ぶスタイルでしたが、今回の変更で、ユーザーが言葉で自由に指示する形へと一歩進んだことになります。
日本のiPhoneユーザーにとっては、メールの下書きやメモの整理、メッセージの返信といった日常の文章作成が、より直感的になる可能性があります。一方で注意したいのは、ここで触れた作文ツールの刷新と、英語先行で進む会話型の新Siri本体の刷新は別物だという点です。両者を混同すると、日本語対応の時期を誤解しやすいため、切り分けて捉えておくとよいでしょう。
なお、ここで紹介した内容はあくまで開発者向けベータ版時点のものです。正式版で仕様が調整される可能性は十分にあるため、最終的な姿は秋の公開を待つ必要があります。
まとめ
iOS27でのWriting Tools廃止とWrite with Siriへの統合は、単なる名称変更ではなく、AppleがAI体験をSiriという一つのブランドに集約していく流れの一部とみられます。すでに動いていた機能をあえてSiriの名前に寄せた背景には、秋に控える本格的なSiri刷新を見据えた布石という側面も考えられます。
iOS27の正式版は、iPhoneの新モデルが登場する秋ごろの公開が見込まれています。自分の使っている作文ツールがどう変わるのか、今のうちに動向を追っておくとよいでしょう。
Photo:9to5Mac
