Appleが現地時間6月8日(日本時間6月9日)に発表したiOS27に、新機能「タップして共有」が加わります。既存の「iPhoneのタッチ決済(Tap to Pay on iPhone)」の決済中に、客が連絡先や配送先、レシート用のメール、Apple Walletのパスなどをワンタップで店側のiPhoneへ渡せる仕組みです。
対応はiOS27・iPhone12以降で、決済からデータ交換へと役割が広がります。
タップして共有でタッチ決済が情報共有まで担う
タップして共有は、店側のiPhoneと顧客のデバイスを近距離無線通信(NFC)でつなぎ、会計時に必要な情報をやり取りする機能です。Appleの開発者向け情報によると、顧客は自分が選んだ情報だけを店のiPhoneへ渡せます。
共有できるのは、会員登録用の連絡先や配送先の住所、デジタルレシート用のメールアドレスです。Apple Walletの会員証やロイヤルティパスの追加・読み取りにも対応します。会計の場面では、割引やセール価格を含むカートの内容を、顧客の画面に表示できるようになりました。
そのままApple Payで全額または一部の支払いへと進める点も特徴です。iPhoneを持たない顧客にも、同じタップでWebアプリが起動します。情報の共有やカートの確認まで、同じ操作の流れで完結できるよう設計されています。
すでに身近なiPhoneのタッチ決済が土台に
タップして共有は、すでに実装されている「iPhoneのタッチ決済」という土台の上で機能します。この決済機能は2024年5月から提供が始まっており、専用の決済端末がなくてもiPhoneだけでカード決済を受け付けることが可能です。
対応アプリには「stera tap」「Airペイタッチ」「Square POSレジ」などが名を連ねています。つまり、店側がiPhoneで決済を受け付ける環境は、すでに各地で広がっていると言えるでしょう。
| 項目 | iPhoneのタッチ決済(既存) | タップして共有(新機能) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 非接触決済の受け付け | 会計時の情報共有 |
| 主な内容 | カードやApple Payでの支払い受付 | 連絡先・配送先・レシート・Walletパスの共有、カート表示、Apple Pay |
| 必要なもの | iPhoneと対応アプリ | iPhoneとタッチ決済対応アプリ |
| 対応端末 | iPhone XS以降/iOS最新バージョン | iOS 27以降を搭載したiPhone 12以降 |
| 提供状況 | 2024年に提供開始済み | iOS27以降で利用可能 |
今回のタップして共有は、今までの決済の流れに情報のやり取りを重ねる拡張になります。Siriの刷新や動作の高速化を伴うiOS27の一部として、決済まわりも静かに進化を遂げました。
会計の一動作に情報連携が統合される
タップして共有の要点は、これまで別々だった作業が会計の一動作にまとまる点にあります。従来は、会員登録の記入、レシート用メールの口頭確認、ポイントカードの提示がそれぞれ独立していて手間でした。これらをNFCのワンタップとApple Walletへ集約できれば、レジ前の流れは大きく短縮できます。紙の会員カードや手書きの伝票が減れば、入力ミスや個人情報の取り違えも起きにくくなるでしょう。
顧客が渡す情報を自分で選べる設計のため、必要な項目だけを共有する使い方も可能です。受け取った情報は、その場の会員登録やデジタルレシートの送付にそのまま生かせます。店側にとっては、顧客との接点を会計の瞬間に作れるメリットも見込めます。
対応はiOS27・iPhone12以降に絞られる
利用にあたっては、iOS27搭載かつiPhone12以降という対応条件が示されています。比較的新しめの世代が求められるため、手元の端末によっては使えない場面も出てきそうです。もっとも、対応外の端末でもWebアプリのフォールバックが用意されており、情報共有やカート確認は行えます。そのため、顧客側が必ず新しいiPhoneを持っていなければならないわけではありません。
iOS27では機能ごとに必要な機種が分かれており、高度なAI処理がiPhone17 Pro/Pro MaxとAir限定とされる例もあります。タップして共有の縛りは、上記と比べると幅広い世代をカバーする条件だと言えるでしょう。
なお、Appleは顧客側について、同じタップ操作でWebアプリのフォールバックを起動できると説明しています。そのため、顧客が必ずiPhone 12以降を持っている必要があるとは限りません。
EEA非対応が続く背景を読み解く
タップして共有は、欧州経済領域(EEA)では現時点で利用できません。EEAはEU加盟国に、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを加えた範囲を指します。
Appleはタップして共有のEEA非対応理由や今後の提供時期を説明しておらず、背景は明らかになっていません。ただし、AppleはSiri AIについてもEUでの一部提供を当初見送ると案内しており、欧州では新機能の提供地域が分かれる例が続いています。タップして共有についても対象地域の広がりは今後の発表を見ていく必要があります。
Photo:Apple
