Appleが、App Store以外での購入に15%の手数料を求める案を裁判所へ示しました。いまは徴収そのものが止められており、取り分は0%の状態が続いています。同じ日に和解の協議も申し立てましたが、Epic Gamesは現段階では乗らない姿勢を示しました。手数料の水準は、手元のアプリの支払いにも関わる話です。
Appleが示した外部購入の手数料
外部購入とは、アプリの中からWebのページへ移って支払う形を指します。App Storeの決済を通さないので、これまでAppleの取り分は生じませんでした。その購入にいくら求めるのかという水準が、今回示された内容です。
3段階に分かれた手数料の中身
Appleが提示した手数料は、購入の種類によって5%、10%、15%の3段階に分かれています。海外メディアの報道によると、標準のアプリには15%が求められました。
10%になるのは、サブスクの更新と、動画やニュースの配信に関わるプログラムに参加しているアプリです。いずれもAppleが個別に条件を定めている枠で、外部の購入にも同じ区分が持ち込まれました。
5%が適用されるのは、規模の小さい開発者向けの制度を使う場合です。アプリ内課金の手数料が半分になる制度と、対象をそろえた形になります。
手数料案と同時に出た和解の申し立て
Appleがこの案を提出したのは現地時間8月13日で、同じ日に和解の協議を求める申し立ても行いました。手数料の案と和解の打診が同時に出てきた点が、この動きの特徴です。協議に入るかどうかは、地裁の判断に委ねられています。
Appleの説明では、この水準はアプリ内課金と比べて十分に競争的とされました。取り分を確保しつつ、開発者が外部の決済を選びやすい水準にしたという理屈でしょう。数字だけを見れば、通常の30%より低い設定になっています。
手数料は0%から15%へ戻るか
ただし、この15%を30%と比べるのは片手落ちです。いまAppleは、外部の支払いから手数料をまったく取れていません。2025年4月に、外部リンクをめぐる扱いが法廷侮辱にあたると判断されたためです。
| 支払いの経路 | Appleの取り分 |
|---|---|
| アプリ内課金(通常) | 30% |
| アプリ内課金(小規模の開発者向け) | 15% |
| 外部リンク経由(2025年4月まで) | 27% |
| 外部リンク経由(現在) | 0% |
| 外部リンク経由(今回の提案) | 15%/10%/5% |
手数料が27%から0%へ落ちた経緯
表に並べると、手数料が動いてきた向きがはっきりします。Appleは以前、外部リンクを認めるかわりに27%を課していました。それが法廷侮辱の判断で止まり、いまは0%が続いています。
15%が値下げにも値上げにも映る理由
そこへ15%を乗せ直す案が出てきた、というのが今回の位置づけです。開発者から見れば、いま無料のものに新しく15%が乗るという話になります。値下げの提案には見えません。
つまり同じ15%が、比べる相手によって値下げにも値上げにも映るわけです。Appleは30%を基準に語り、Epicは0%を基準に語っています。どちらも数字そのものは正しく、立っている場所が違うだけでしょう。
この二重の見え方が、対立を長引かせている一因になりました。
Epicが和解協議に乗らない理由
Epicが協議に乗らないのは、和解の中身がまだ定まっていないためです。現地時間8月17日の回答では、すべての開発者に利益が及ぶ真剣な提案なら応じる用意があるとしています。
Epicは、競争を生む内容かどうかを判断の軸に置きました。ただし協議の場へ移しても、見込みが大きく前進するとは考えていないという立場です。
Appleの打診から申し立てまでの経緯
経緯を追うと、応じない姿勢は今回が初めてではありません。現地時間8月11日にはApple側から打診があり、Epicはその時点で同意しませんでした。2日後に、Appleは裁判所へ命令を求める形に切り替えています。
Appleの側にも、早く区切りをつけたい事情があるのでしょう。手数料を取れない期間が長引くほど、外部への誘導は定着していきました。制度が固まる前に水準を決めておきたいという読みも成り立ちます。
和解が誰のためのものかの対立
争点になっているのは、和解が誰のためのものかという点でしょう。Epic1社の条件が整うだけでは、ほかの開発者の状況は変わりません。だからこそ同社は、全体に及ぶ内容かどうかを繰り返し持ち出しました。
Epic側の主張はさらに踏み込んでいます。実際に負担する費用だけを基準にすれば手数料は0%になると、Apple自身が認めたという指摘です。これはEpicの言い分であって、Appleが公表した内容ではありません。受け取り方が割れている部分なので、扱いには注意が必要です。
Apple対Epicは二階建てで進む
この争いは、いま2つの階層に分かれて進んでいます。上の階では、法廷侮辱にあたるかを最高裁が審理する段階に入りました。下の階では地裁が、外部購入にいくらの手数料を取れるかを詰めている段階です。
Appleが法廷侮辱と判断された理由
法廷侮辱とは、裁判所の命令に従わなかったと認められる状態を指します。Appleは外部リンクを認める命令を受けた後も27%を課し、表示にも制限をかけていました。この扱いが命令に反すると判断され、徴収そのものが止まっています。
2つの階層が連動する仕組み
2つの階層は連動しているので、片方だけでは決着がつきません。上の判断が変われば、下で詰めている手数料の前提も動きます。Appleが和解を持ちかけた背景には、この先行きの読みにくさもあるでしょう。
手数料の案が出る前日にあたる現地時間8月12日には、手続きを一時的に止める措置も認められています。審理の日程は示されておらず、いつ決着するかは読めない状況です。
長期戦になる前提で見ておくほうが無難と言えます。
アプリの支払いは安くなるのか
アプリの支払いがすぐ安くなるとは限りません。外部の決済や別のアプリストアは、すでに手元でも使える状態です。そこに手数料がいくら乗るのかを決めているのが、この争いになります。
増える選択肢と変わらない価格
注意したいのは、外部決済の本質は必ず安くなることではないという点でしょう。増えるのは支払い方法の選択肢であって、価格が下がるとは限りません。手数料が15%乗れば、開発者が外部へ誘導する動機は弱まるでしょう。
別のアプリストアにも同じことがいえます。App Store以外からアプリを入れる道は開きましたが、審査や認証の仕組みはAppleが握ったままです。入り口が増えても、条件を決める側は変わっていません。
15%が乗ったあとの価格差
外部の決済は、開発者にとって手間のかかる仕組みでもありました。決済の会社への支払いや、返金と問い合わせの対応を自前で抱えることになります。そこに15%が加われば、アプリ内課金との差は思ったほど残らないでしょう。
実際に安いかどうかは、アプリごとに並べて確かめるしかありません。アプリ内で買う場合と、外部のページで買う場合の金額を見比べておきたいところです。いま外が安いアプリでも、条件が変われば差は縮みます。
手数料の水準を決めるのは、地裁と最高裁の両方の判断です。Appleが示した15%がそのまま通るとは限らず、協議が始まるかどうかも決まっていません。当面は、アプリの価格表示が変わるかどうかを見ておくのがよいでしょう。
