Siri AIの課金にクック氏が言及〜iCloud+の上位プランを用意へ

Siri AI

決算説明会でクック氏は、AIを多く利用する人に向けて、iCloud+を通じて利用枠を増やせる仕組みを設ける考えを示しました。AppleがSiri AIの有料利用の可能性について公の場で言及したのは、これがはじめてだと海外メディアは報じています。ただし、具体的な料金体系は決まっておらず、無料では使えなくなるとも述べていません。現在のiCloud+の料金は月180円からです。

Siri AIの利用に何が必要になり、いくらかかる可能性があるのか、現時点で分かっている情報を整理します。

Siri AIの利用枠とiCloud+についてクック氏が言及

クック氏がSiri AIの課金に触れたのは、決算説明会でアナリストから受けた質問に答えたときでした。Siri AIは今秋のiOS27に搭載される新しいSiriで、OSに備わる機能として案内されています。これまで、追加料金については明らかにされていませんでした。

ただし、依頼の内容によっては、処理がiPhoneの中だけでは完結せず、Appleのクラウドへ送られます。そのため、Siri AIには、利用が増えるほどAppleの費用も増えるサービスとしての側面があります。

クック氏は、計算コストへの対応はまだ初期段階で、完全な計画があるとは言えないと前置きしました。そのうえで、AIを多く利用したい人がいると考えているため、iCloud+を通じて利用枠を増やせる何らかの仕組みを設けるという趣旨の説明をしました。具体的なプランや料金を正式発表したものではなく、実際の利用状況を見極めながら検討する段階です。

AppleがSiri AIの有料利用の可能性を公の場で示したのは、これがはじめてだとAxiosなどの海外メディアは報じています。ただし、クック氏が新しい料金プランを正式に発表したわけではありません。この説明会は、9月にジョン・ターナス氏へCEOを引き継ぐクック氏にとって、最後の決算発表の場でもありました。

Siri AIが有料になるという発表ではない

Siri AIそのものが有料になると発表されたわけではありません。クック氏が明らかにしたのは、AIを多く利用する人向けに、iCloud+を通じたアップグレード手段を設ける考えまでです。料金体系も、どこからが「たくさん」にあたるのかも、まだ示されていません。

一部の海外メディアは、この発言から一歩踏み込み、いずれ無料での利用に制限が設けられると伝えています。しかし、クック氏の回答には、無料での利用を制限するという説明はありません。

現時点で確認できるのは、利用量の多い人向けに、iCloud+を通じたアップグレード手段を設ける考えが示されたことまでです。具体的な対象機能、利用上限、料金、必要なプランは決まっていません。

クック氏は同じ説明会で、AI関連の支出について問われた際にも、この話に触れています。たくさん使う人はiCloud+のプランを上げられるようにする、という説明でした。そのうえで、利用状況とコストの兼ね合いは、現時点では少し不透明だとも述べています。

一方、iOS27のApple Intelligenceでは、すでに利用に必要なプランが示された機能もあります。

機能必要なプラン現時点の状況
ホームアプリの映像要約2TB以上のiCloud+必要なプランが判明
画像生成(Image Playground、写真の編集ツール)多くのiCloud+プランで1日の上限が上がる上限の回数は未公表
ショートカットのCloud Proモデル公式未公表iCloud+加入の要否を含め、利用条件は公式未公表
Siri AI未公表iCloud+を通じたアップグレード手段を検討中

ホームアプリの映像要約は、カメラが捉えた内容をApple Intelligenceが文章にまとめる機能です。利用するにはHomeKitセキュアビデオ対応カメラが必要で、2TB以上のプランが必要とされています。

画像生成機能には、1日あたりの利用回数に上限が設けられます。多くのiCloud+プランでは、その上限が引き上げられる仕組みです。ただし、無料利用とiCloud+加入時の具体的な上限回数は公表されていません。ベータ版での挙動も正式版までに変わる可能性があります。

そのため、手元のベータで不便を感じていなくても、正式版の使い勝手が分かるのは、制限が適用されてからです。

Siri AIに必要なiCloud+プランと料金

Siri AIの利用にどのプランが必要になるのかは、まだ公表されていません。ただし、iCloud+の料金自体はすでに決まっているため、プランを上げた場合の差額は計算できます。

プラン月額HomeKitセキュアビデオ
5GB(無料)0円対応しない
50GB180円1台まで
200GB540円5台まで
2TB1,800円台数の上限なし
6TB5,500円台数の上限なし
12TB11,000円台数の上限なし

必要なプランが明らかになっているのは、今のところホームアプリの映像要約です。この機能を基準に考えると、2TBが目安になります。50GBから2TBへ上げた場合、月々の負担は1,620円増え、1年では19,440円の差になります。200GBから上げた場合は月1,260円増、1年で15,120円の増加にとどまります。

ただし、この金額がSiri AIのために必ず必要になるわけではありません。現時点で判明している機能のうち、もっとも容量の大きいプランを必要とする機能に合わせた場合の金額です。Siri AIの利用条件が50GBや200GBに設定される可能性も残っています。

注目したいのは、上位プランを選ぶ理由が変わってきている点です。これまでは、主に保存容量と対応するカメラの台数が判断材料でした。そこに、ホームアプリのAI機能が加わりました。今回は、Siri AIを含むAIの利用量と、iCloud+を通じたアップグレード手段の関係にまで話が及んでいます。そのため、カメラを使っていない人にも関係する可能性があります。

1年7カ月前はAI課金を否定していたクック氏

クック氏は以前、Apple Intelligenceへの課金について社内で話し合ったことはないと説明していました。2024年12月に公開されたインタビューで、AI機能への課金を議論したことがあるかと問われ、「課金について話したことはない」と回答しています。ただし、将来にわたって課金しないと約束した発言ではありません。

当時クック氏が示したのは、AIをマルチタッチのような基本的な新技術と位置づける考え方でした。指で画面を操作する仕組みが端末に備わる基本機能であるのと同じように、AIも端末の基本機能だという整理です。

今回の発言は、それから1年7カ月後のものです。AIを基本機能とする位置づけを撤回したわけではありませんが、たくさん使う人には別の枠を設けるという考え方が加わりました

この変化の背景には、マルチタッチと生成AIの仕組みの違いがあるとみられます。画面の操作は端末の中で完結するため、利用するほどAppleの費用が増えるものではありません。

一方、生成AIのうち、端末内だけでは完結しない高度な処理はクラウドの計算資源を使います。Apple Intelligenceは端末内処理とPrivate Cloud Computeを使い分けるため、すべての依頼がクラウドへ送られるわけではありません。

クック氏は説明会で、AI関連の支出がかなり増えているとも述べました。AIの処理には、自社のデータセンターと外部のクラウドを組み合わせているといいます。無料の基本機能として提供することと、利用が増えるほど費用がかさむ仕組みを維持することは、そのままでは両立しにくいといえるでしょう。

Siri AIの判断は日本語対応を待ってからでも遅くない

Siri AIが本領を発揮するまでには、言語の壁があります。Siri AIは年内に、まずベータとして英語で提供される予定です。一方、日本語に対応する時期は示されていません

Siri AIは規制上の問題により、EUでは当初、iPhone、iPad、Apple Watch向けに提供されません。MacとApple Vision Proでは、対応言語に設定すればEUでも利用できる予定です。中国では、Appleが規制上の要件への対応を進めているため、Siri AIは当面提供されません。

現時点で2TBへ上げる理由が明確なのは、HomeKitセキュアビデオ対応カメラを使い、ホームアプリの映像要約を利用する場合です。Siri AIのために先回りしてプランを上げる必要は、まだありません

Siri AIを利用できるのは、Apple Intelligenceに対応した機種だけです。iPhoneでは、iPhone15 Pro、iPhone15 Pro Max、およびiPhone16シリーズ以降が対象になります。手元の機種が対応しているかどうかも、あわせて確認しておきましょう。

どの機能が上位プランの対象になるのか、無料で何回まで使えるのかについても、Appleはまだ明らかにしていません。具体的な利用上限は公表されておらず、正式版までに内容が変わる可能性もあります。判断材料がそろうのは、iOS27の正式版が配信されてからと思われます。

Siri AIの料金についてAppleが現時点で示しているのは、iCloud+を通じて、利用量の多い人向けのアップグレード手段を設ける考えまでです。どの機能に、いくらのプランが必要になるのかは、秋の正式版の配信に合わせて明らかになるとみられます。

Photo:Apple

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